第38話 掴んだコツ
お待たせ致しましたー
これが……これが、コツ?
急がないで、慌てないで。
ゆっくりゆっくり……コロコロ、コロコロ転がしていけば。
ビヨーンって伸びても、ちっちゃくならない!?
お母様に振り返ると、お母様はにっこり笑顔だったわ!!
「そう。その調子。リーシャもコツを掴んだのね? 何事も急いで慌てて作ってもダメ。自分にペースを掴むまでは、ゆっくり丁寧がいいわ」
「うん!」
だから、ウィンナーに巻くのもゆっくりやってみると……ちょっと凸凹だけど、ちゃんと出来た!!
何回も何回もやっても、変過ぎる形にはなんない!!
コツってすごぉい!!
「凄いなあ。やっぱり、リーシャはおば様の娘ね?」
サリー姉は、まだ巻くのが大変そうだったわ。ミラクルはレイバルスに教えてもらいながらも、頑張って形にしてた。
「……そうかな?」
「そうよ。自分を誇っていいわ」
「えっへん!」
ちょうど巻き終わったのを置いてから、あたしは胸を張ってみたわ。皆にくすくす笑われちゃったけど。
「ふふ。ミアとのレベルが上がれば……ひょっとしたら、私以上になるかもしれないわ」
「ほんと!?」
でも……お母様のパンはすっごく美味しいから、かないっこないと思うわ。
「……チャロナ様、以上のパン」
「ふふ。ミラクルくん? お父様のようにしなくていいけど、おば様でいいわよ?」
「い、いえ」
ミラクルって、気弱だけど……ちゃんとしてるんだよね?
あたしも行儀見習いの先生である、サリー姉のお母様にもちょくちょく叱られていることがあるわ。
孤児院でちゃんと挨拶するのに……メイミー先生にはしっかり教えてもらおう。
は、あとですることにして!!
「……こっちも出来た」
お母様がお手本に置いてくれた……コッペパンの形。
急がず慌てず……ゆっくり丁寧にしたら、まだ変だけど骨にはならなかったわ。
「いい調子よ? 七つで出来るのは凄いわ」
「おば様は、公爵様とご結婚されるくらいだと母には聞きましたが」
「そうね? メイミーさんと出会った頃ね?」
十六歳。
この国では、成人になる歳。
お母様はもっともっと……ちっちゃい頃から作れたんだと思うけど。なんでそこなんだろう??
お父様達と出会ってから?
あれ? お母様って、シュラ伯父様の妹で王女様だよね??
わかんないことが、たっくさん出てきたわ!!?
「……リーシャ。まだいいよ」
「……ミラクル?」
うんうんしてたら、ミラクルが指で『しーっ』と作ってた。
今は、わかんなくていいってことなの?
なんで??
次回は土曜日〜




