第199話 言えなかった真実とは(セシル視点)
幼い頃から、ずっと疑問だったことがいっぱいあったけど。
その根底になる『真実』をリーシャが教えてくれたことで解決の枠が一気に増えた。
大人たちが、子どもらの俺たちには隠していた『真実』は絵空事かと思いかけたけれど……そんなちっちゃなことじゃない。
現に、リーシャはチャロナ様とほとんど同じ異能を持っているし。俺も、アルフガーノ家が代々引き継いてたスキルを継承した。
だからこそ、大人たちが抱えていた『枯渇の悪食』の真実は嘘じゃないとわかる。教えてくれたのはリーシャで、彼女はこれからの夢を語ってくれたんだ。
「出来ることはまだスタートラインだけど……もっともっと、いろんな人に美味しいパンを作ってもらいたい!! それ以上に美味しいご飯も食べてほしいわ」
「俺は手伝うよ」
「……ありがと」
婚約者としてもだけど、ひとりの人間としても手伝いたい。
俺はリーシャほど、ご飯を美味しく作れる技術はないけど……他にだって手伝えることは色々あるんだ。
将来の旦那としても、それ以上の役割を共に分かち合うために。
俺はリーシャの側にいたい。
「じゃ、早速だけど……セシル兄は何か食べたい?」
「……作ってくれるのか?」
「ふふ。一番最初にって、決めてたの」
可愛い子がさらに可愛い提案をしてくるんだが……ここは公爵家の敷地内でも目立つので、唇以外のキスしてるとこも目立つ。こう言うときは、子どもなのが悔しい……!!
父さんたちは屋敷だといつだってしてんのに!!?
「……じゃあ、カレーパン」
「いきなりハードル高いけど、頑張る!」
「違うよ。いっしょに食べたいから、俺も手伝えるとこ手伝う」
「! ありがとう」
考えたら、便利な調理器具の基本もロティからできたんじゃなくて……チャロナ様の前世がヒントなんだろうな。また父さんにきちんと聞いて、リーシャが困らないように子息としての仕事も割り振ってもらおう。
今から出来ることって、それくらいからが俺のスタートラインだし。




