第195話 即位記念に(シュライゼン視点)
よーやく、父上が国王を退位し!
俺がセルディアスの新国王に即位したんだぞ!! 長かったんだぞ!!
「ふ! そして、我が妹たちのレシピで!!」
即位記念の式典の宴はきちんとしたが。
身内は身内で、砕けたスタイルでパーティーをするのも忘れない!! そのために、姪たちが試作を重ねてくれてたそうなんだぞ!!
「伯父様! 御即位おめでとう御座います!」
「おめで、とざいます!!」
「ありがとうなんだぞ、我が姪に甥よ!!」
俺は王になるための『子作り』は、双子の我が子がいるために必要以上しなかったが。
我が妹は……まあ、カイルに愛され過ぎてしまって孕ってしまっている。いいことではあるんだが、そろそろ高齢の域に近いんだから、手加減してやれば良いものの。
ともあれ、姪のリーシャはチャロナと母上の面影を色濃く残したかのように成長しているんだぞ。髪色だけ、彩緑だったら……母上ともそっくり。
先に婚約者が出来てて良かったんだぞ。カイルの意固地にこじれていたあの恋愛世代は良くない!!
「お兄さん、今日のために準備したシカゴピザ風よー」
「なんなんだい!? この大きいパンは!!?」
異世界での知識は子どもたちがいるので、まだ言えないが。
それを抜きにしても、器のように作られた『パン料理』は見事なんだぞ!!
暴力的なチーズの海。
隙間からでも匂う、トマトのソース。
燻製肉や野菜もあるだろう。
そのハーモニーを支える器が……おそらく、食パンを使ったそれ!!
それが、それがひとりで食べていいように盛り付けられていた!? こんな料理が異世界にもあるのかい!!?
『正確には、なんちゃってだから……子どもでも作れるようにしたの』
『……そうなのかい?』
こっそり、チャロナが教えてくれたので……なるほどと納得出来た。本来は、以前食べた薄い生地を使ったものかもしれない……しかし、それでも美味しそうなことに変わりない!!
身内だけのパーティーでこんなにも美味しそうな食事を囲むことを……これからも増やしていこう!
『枯渇の悪食』の厄災を起こすのは……二度としないためにも。
国王としてその決意を固めたが、今は今でただ家族たちとの団欒を囲むのは人間らしくありたい。
実際、姪たちが主力で作ってくれたシカゴピザとやらはすごく美味しかったんだぞ!!




