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第191話 精獣どころじゃない(シェトラス視点)

 坊っちゃまが、レイくんを大層驚かせてしまう生き物を連れて来られたようだ。



『……ぼ、ぼぼぼ、坊っちゃま!?』

「レイ〜! この子、せーじゅー?」

『違いますですよぉお!?』



 一緒だったアウルくんは、おそらく正体をわかって連れて来られたのだろうが……おそらく、この黒い猫のように愛らしい生き物は精獣の類ではないはず。


 無関係の私ですら、何か神々しいオーラを感じるほどだ。



「えー? この子、猫ちゃんじゃないんでしょー?」

『ない……ないで、やんすけど!?』

「なーにー??」

『……料理長ぉ!!?』

「……わかった。旦那様をお呼びしよう」

『お願いしますでやんす!!』



 アウルくんにも、頼んだと軽く告げてから執務室へと足を運んだが……旦那様は休憩をされるのか、ちょうど部屋から出られるところだった。


 お子様方が大きく……特に、坊っちゃまが大きくなられてからですが。奥様のチャロナちゃんもまた妊娠されたことで、お子様方との交流を大切にされるようになられた。


 陛下ほどではないですが、慈しみの笑顔は幼少期のそれくらいにまで戻られた。


 それは良いのですが、その御子息が連れて来られた生き物について……どう説明しようか。



「シェトラス? わざわざどうかしたか?」



 しかし、言わずには……出来ないし、レイくんのためにも告げるしかない。



「実は。坊っちゃまが……おそらく、神獣を抱っこされているのです」

「……どこで、だ?」

「アウルくんといっしょでしたので……おそらく菜園でしょうが。ウルクル様も仕事で今いらっしゃいません。代わりに、レイくんへの質問攻めです」

「…………神獣。神の使いとは」

「いえ。それにしては……物凄く、幼いです」

「…………行こう」



 奥様をお呼びすれば、お腹のお子様が……と考えたでしょうが。この時間ですと、うたた寝が多いのでお昼寝でしょうな。臨月より少し前になられると、寝ることが多いのは健康な証拠。


 ともかく、厨房に戻ってみたのだが……坊っちゃまは、半分泣きそうな表情で神獣らしき生き物を離そうとしていませんでした。



「や! や! ぼく、この子といっしょがいーい!!」

『……しかし、坊っちゃま』

「……ディオス。同伴していた僕も悪いが、その子は離した方が」

「ヤダ!!」



 完全に、犬を返してこいと言われたくない子どものアレ……ですな。


 旦那様も、神獣に一瞬目を奪われかけていらしたが……よく観察されてから、レイくんに視線を向けた。



「……レイ。あの神からの謝罪か何かか?」

『可能性は、ないとも言えず。しかしながら……陛下側にない加護を』

「……そこだな。シュラは気にせんだろうが、国王としては」

「……とーたま、ダメ?」

「…………伯父上に、聞くまでは」

「俺呼んだかーい?」



 シュライゼン様がもう転移して来られたと言うことは、何かあったのか。


 手には薄い紙で出来た金の便箋をお持ちであった……。

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