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第186話 日に日に可愛い(セシル視点)

 騎乗での移動だけど。


 リーシャが俺の腰に腕を回さなくなったのは、たぶん去年あたり。それくらい馬上の訓練はしたおかげで、リーシャもひとりで騎乗は可能だ。


 俺と乗る時、キャーキャーはしゃがなくなったのは意外と早かった気がする。



(……意識、されてんだろうなあ)



 さっき、さりげなく腰に手を回したの。……公爵様には見られていただろうけど。年単位どころか、週単位……いや、日に日に??


 母君のチャロナ様とよく似た笑顔に顔立ち。


 たしかに、これは他の男が放っておかない気遣いとか諸々。


 俺だけの、婚約者なんだと……保育園とかでも、まあまあアピールしてんのに!! デレデレの男が増えてきていやがる……。俺も父さんに結構似てきたから、女の子からの視線は痛いが。


 リーシャ一筋だから、全然痛くない。と思いたいが、手紙が山のように来るのでうちの負担労働がそっちばっかり。勘弁して欲しいが、母さん曰く、父さんも同じ目に遭ったんだって。


 カイザーク爺様からの習わしに近いぽい。宰相は流石に引退したけど、チャロナ様の食育とかでまだまだ元気な爺様なんだよな……。


 そんな俺に、とびっきりの笑顔とパンをくれるのは……リーシャだけだ。


 可愛くて、もっといっぱい触れたいけど……。父さんからは、せめてリーシャが成人する手前まで手出しすんなと言われた。


 俺にほとんど継承されてる『魅了の美声(チャーム・ボイス)』は、無意識だと効果が一番出てしまう女の子の足腰が立たないようになるんだって。


 正式な婚約はしてても、成人教育について……俺は父さんたちから早めに習っているので、理解はしている。たしかに……継承仕立てのあの感情以上を制御すんのは、今じゃダメ。



(つか、犯罪行為で公爵様に解消される!!?)



 と言うことで、出来るだけ紳士ぽくアピールするだけで我慢してた。それでも、リーシャにはときめきの効果があるのか赤面しまくる。可愛い……じゃなくて!!



「セシル兄? もう直ぐ?」

「あ、ああ。もう直ぐだ」



 これ。


 もういい加減、とってもいい気がするんだけど。


 恥じらいはあるにしても、そこそこいい年なんだから……もう少し進みたい!! せめて、呼び名定着くらい!! 兄扱いじゃないのはわかっているんだけど……そこまで恥ずかしいか?


 俺の成育についても、大きな変化があるにしろ……ちょっとだけ、譲歩すると距離空けられそうになるから、我慢。


 下手に親がかっこいいのも問題過ぎる!!?


 目的地の平原に到着してから、サッと降りて敷布を広げる手際には感心するが……降ろすつもりだったこっちの空の手はどうしたらいいんだ。

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