第182話 反抗期?に近い(ミラクル視点)
ちょっとだけ大きくなった僕たち。
サリーは一番上だから、あと数年で成人しちゃうけど。僕以外の男は見向きもしないから……って理由で、ハグはよくしてくれている。それ以上は、父上たちの言いつけで何もしていない。
手もほっぺも、僕が暴走するだろうかと……キスは禁止。ちょっと怒りたかったけど、サリーを変に困らせちゃいけないので頷いた。
むしろ、幼馴染みのセシル兄の方が僕より大変。
お父上の師匠くらいに顔が整ってきたし、アゴもキレイに締まってる。ただ、婚約者のリーシャも結構可愛くなっているから気が気じゃない。
「……触れてぇ」
と、口が悪くなっているのは師匠似だろうなあ。
「……ちょっと前に『やり直し』したんでしょ?」
「したよ!? したさ!! だが……その、足りねぇ」
「成人までまだ数年あるんだから……幼児虐待扱いされるよ?」
「…………だよなあ」
ここでへにょんと崩れるとこは、昔と変わっていない。我慢はしてるけど、理解していないわけじゃないから……もどかしいんだろうね? 僕も、そこはサリーによく叱られているけど。まだ十歳でもないんだけどなあ……?
ちゃんと婚約出来ていることだけでも、安心材料は多いと思うもん。
「だから、少しは間置くしかないんじゃない? リーシャ、真っ赤だったでしょ?」
「……そこも可愛い」
「絶対、次は成人の儀まで我慢しよう」
「……ぐれてぇ」
「ぐれてもダメダメ」
世話好きの父上たちの作法を取り入れているからか、僕は幼いのに気配り上手らしい。セシル兄も全くだらけているわけじゃないから……僕とかみたいに話せる人に打ち明けたいのかな?
そう思うことにして、リーシャたちのところへ行こうとしたんだけど。
「……リーシャ様、可愛い」
「サリー様もおキレイ」
などと、孤児院の子どもたちの釘つけ対象になってた……。もちろん、セシル兄が睨みつけて逃げさせてはいたけど……それぞれの婚約者が可愛いのも大変だ。
群がる虫を払うのは、僕らにもあるんだよってサリーに言っても全然知らないって言うもん。




