第177話 あんこと生クリームで
「今日は、あんぱんに生クリームを入れる菓子パンを作るわよ」
お母様がそう言っているけど……先に入れたら、生クリームは溶けちゃう。
だったら!!
「冷めたら入れるの?」
「そのとおり! アイスのパンでわかったかしら?」
「うん!」
ずーっと前に、パンがあったかいうちにジャムを入れようとしたらベチャベチャになったもの!! あれときっと同じだわ!!
だけど、コーヒーのゼリーを入れるのはなんでかな??
「本当はコーヒー自体を乾燥させた粉がいいんだけど。風味付けだから、少しあんこに混ぜてみようと思うの」
「……苦くない?」
「大丈夫よ? カフェオレと似た感じになると思うわ」
「! がんばる!!」
甘いコーヒーにミルクたっぷり入れたのも大好き!! 大人になったら、にっがいコーヒーも飲めるようになるだろうけど……今はいいわよね??
あんぱんだけど。生地にあんこを入れるのはとっても大変。あたしは、お母様に言われて……ゼリーとあんこがべちゃべちゃにならないように混ぜていくお手伝いをした。
お母様がちょっとずつ味見されてから、お母様はヘラの棒でひょいひょい包んでいくからすごいわ!!
「リーシャは、まずお団子風にしてみようか?」
「? いいの?」
「包む練習だからよ。ちゃんと丸でなくていいから」
「はーい」
お母様は本当に、優しいからいろんな人からモテモテだもの。男の人にも女の人にも。
だから、マックス様とは親友で。お父様とはふーふなんだと思うわ。あたしも、セシル兄とちゃんと結婚したいから! 好きな食べ物とか色々知りたいなあ……。大きくなってから、ちゃんと聞いてない気がするの。
「生地を薄く伸ばして、あんこを乗せて。端から順にあんこにかぶせてみて?」
「……薄くてやぶいちゃいそう」
「大丈夫よ? ゆっくりね」
「うにゅー」
『でしゅ!』
ミアもいっしょだけど……体が赤ちゃんだから、泥団子遊びになってる。可愛いけど、お母様がレクター先生に教わったっていう浄化の魔法でキレイキレイになったわ。
「はい。冷却で冷めたら……切り込み入れて」
お母様が異能も使わずに、手作業で生クリームを泡立てていたの。それを、シェトラスもいっしょになってしぼる袋で……ちょいちょいと入れていく!!
お料理出来る人……本当にすごいなあ!!




