第166話 解呪方法を使えない(セシル視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(セシル視点)
俺は、父さんたちのいや部屋からリーシャを抱えて転移してきたけど。
リーシャの自室に戻っても、父さんに教えてもらった解呪の方法を使うのを……すぐに、実行出来なかった。抱えているリーシャは、俺が発動させてしまった『魅惑の美声』の効果で、俺のときめきに刺激する表情で放心している。
これをどうにかするには、父さんが言うに『キス』でリーシャの中の魔力を吸引しなくちゃならない。俺の魔力が混じって、簡単に言うと『メロメロ』になっているんだって!?
リーシャとの初キスはもっとロマンティックに考えていたのに、出来るわけないだろ!?と俺は思っても。
解呪しないと、しばらくリーシャはこのままらしい。俺の魔力が結構大量に注いじゃったから……キスで吸引した方が早いんだって。父さんだけのスキルのはずが、なんで俺に一部でも継承しちゃったんだよ!!
「ふぇ~……セシル兄ぃ」
どうにかしなくちゃなんないのに、リーシャは俺にしがみついて嬉しそうに名前を呼んでくれている。めちゃくちゃ嬉しいけど、これが俺のスキルで起きたことだから正直喜べない。
治すためには、俺の魔力を抜き取るしかない。
そんな繊細なコントロールがいる技術、まだ子どもでも修行不足の俺に出来るか? ぶっちゃけ、無理だ。十歳程度の子どもでも稀代の天才じゃなきゃ、無理。俺にはそんな器量はない。恵まれた環境に居ても、せいぜい転移の魔法が使えるようになってくらいだ。それにも、だいぶ修行が必要だったから!!
「ん? 魔法に詳しい?」
ついてきたミアはおろおろしながら宙でじたばたしてたけど、俺は対策を一個思い付いた。そのためには、ミアを置いていけないのでリーシャを落とさないように抱えながら、ミアに手を伸ばした。
「ミア! 王宮に行こう!!」
『みゅ? お城でしゅ??』
「父さんの言ってた方法は、最終手段だ。魔法に一番詳しいのはエルフ。ハイエルフのアーネストの師匠のところに行こう!!」
『わかったでしゅ!!」
ミアの了承をもらい、俺にしがみついてもらってから……俺は師匠のとこに座標を合わせた。焦るけど、出来るだけ慎重に構築させてから俺は魔法を行使した。
一瞬光ったけど、視界が変わったとわかったときには……もう、それらしき場所に転移出来ていた。アーネストの師匠が、目を丸くして俺たちの前に居たから!!
「ど、どうしたのじゃ? フィーんとこの……む、リーシャ様??」
「師匠! 助けてください!! 俺に父さんと同じスキルが継承されかけてて……リーシャがその魔力でこんな状態に!」
「む? 『魅惑の美声』が今になって、じゃと? 方法……は、理解した上で儂のとこに来たのか」
「何か、他に方法ありませんか!?」
俺の転移で連れてきたリーシャの状態と、だいたいの経緯を説明しただけで理解してくれた。それでも。師匠は『う~む』って唸ってしまった。
「かなり、浸食しているが。せっかくの機会を無駄にしてはいかんな。儂に任せなさい。とりあえず、リーシャ様をベットに寝かせて欲しい」
「はい」
ここに来てよかった。リーシャとの初キスももちろん、台無しにするとかは半分どうでもよくなっていても。リーシャを元の状態に戻すのが先だから、俺は落とさないように師匠が案内してくれたベットに、ゆっくり寝かせてやったんだ。
次回は多分土曜日?




