第160話 ご飯を食べる前には
お待たせ致しましたー
具材の組み合わせをみんなで考えている途中だったわ。
ミアが、いきなりあたしの膝の上から飛び上がったの。ぴゅんって勢いで。
『みゅ! 美味しいごはんの匂いでしゅ!』
ミアの言葉に、あたしとかは匂いがしないからよくわかんなかったんだけど。
ほとんどの人は同じだったのに、アウルくんだけは違ってたみたいで、くんくん鼻を動かしてからすっごい笑顔になったのよね?
「本当だ! カレーの匂いがする!」
「「「「「「カレー!?」」」」」」」
シェトラスやレイバルスがお昼ご飯に作ってくれているのかしら?
ううん。今日はいっぱいお客さんがいるから、お母様が提案してくださったのかも。お母様や伯父様たちと作られているかもしれないわ!!
「「食べたい!!」」
「私もお腹ぺっこぺこ~!」
「……僕も」
「わたくしも、こちらのカレーはいただきたいですわ」
「うむ。私も食べたい」
「行こうよ!」
もちろん、お片付けしてからよ? みんなで慌てないように片付けてから、部屋出たのはいいんだけれど。
アウルくんやサリー姉はお腹がぺこぺこだから、ついダッシュしちゃったの。そのため、廊下の奥から来てた人に気づかなくて……。
「……なりませぬぞ。皆さま」
「「ひっ!?」」
止まるように立っていたのは、アーネストのお師匠様じゃなくて。シワはすごいけど、かっこいいおじいさん。
服装は、国王陛下であるおじい様の近侍としての正装を身につけている……カイザークおじい様。
伯父様とお母様の爺やさんでもあって、あたしの婚約者になったセシル兄のひいおじい様でもあるの。とってもお久しぶりに会うんだけど……いい人でも、みんなちょっとだけ苦手にしているとこがあるの。
それは、『行儀作法』について。
ここにいるほとんどの子どもは貴族・王族・神の子どもたち。
ある程度の作法は身につけてても、普段は小さな子どもだからはしゃぐのは仕方がない。それでも。ここはあたしのおうちである公爵家のお屋敷。
ずっと気を張るのはよくないのはカイザーのおじい様もわかってはいるそうでも。
「紳士淑女になられる皆さまが、廊下を勢いよく走られるのはいけませぬぞ? お怪我をされたらどうするのです?」
みんながすぐに理解しても、きっちりしっかりとお説教をするとこが……ちょっと嫌なの。わかってても、してくるとこがね? お母様だったらいいのに、あたしとかはまだ苦手にしてるの。
子どもの反発?だからかしら?
でも。カイザーのおじい様が言っていることは正しいから、アウルくんやサリー姉はすぐにごめんなさいって謝ってたわ。
「おわかりでしたら、大丈夫ですよ。まあ、仕方がありませんな? 下では今、殿下方がカレーをさらに美味しいお食事にするためにがんばっていらっしゃいますので」
「もっと?」
「おいしく??」
何だろうと、みんなで考えてもわからなかったから。カイザーのおじい様はにっこり笑顔になって、いっしょに行きましょうって移動用の魔法陣に案内してくれたわ。
次回は月曜日〜




