第16話 ちぎりパン②
お待たせ致しましたー
ぱんぱん、ぽんぽんと手に軽く……粉をつけて。
生地を切るのは……シェトラスが『スケッパー』って金属の板を持ってきてくれた。それを使って、少しずつ切っていくんだって。レシピにも書いてあったわ。
それを……魔導具の『測り』って言う、薄い板に置くと数字が見えて。必要な大きさをおんなじくらいにすることが出来る……すんごい魔導具なのよね?
作ったのは、お祖父様や伯父様がいるお城の……お母様のお師匠様だったかな? あんまり会ったことないけど……アーネストってエルフのおじいちゃんだった気がする。
とりあえず、測りで生地を分けて……シェトラスとレイバルスがコロコロ転がしながら丸めていく。
簡単かなって、コーンパンの時も思ったけど。
サリー姉やミラクルとまた頑張ってみたのに……ダメだった。
べちゃべちゃ、ぐちゃぐちゃ!!
「「うぇえ!?」」
「……べちゃ」
『あー。力込めて丸めてはいかんでやんすよ?』
「コツは……難しいですからなあ?」
手がべっちゃになったから、一度手をしっかり洗って。
シェトラスがお手本を見せてくれることになったわ!
「……どーするの?」
サリー姉が不思議に思っていたわ。あたしもだけど……シェトラスは生地の一個を手の中に置いて、もう片方の手で上からかぶせた。
「お嬢様方。『おだんご』と言うお菓子は覚えておいでですか?」
「「おだんご??」」
「……ははうえ、得意」
「そう。エイマーも得意のあの丸いお菓子です。コロコロ転がして、きゅっとさせる。わかりやすく申しますと、あの形を思い浮かべてください」
「「んー?」」
丸くて。
べちゃってしてなくて。
美味しいもの?
お母様も……作ってくれたかしら?
ミラクルのお屋敷では、何回か食べたような覚えがあるけど。
さらに、シェトラスは上と下の手を使って……コロコロと生地を転がしていったわ。
「まずは、これが出来るようにしましょう」
「……難しそう」
「……出来るの?」
「何事も練習ですよ」
『でやんす』
けど、生地が悪くならないように……レイバルスはさっきと同じように丸めて。
あたし達は……ゆっくりゆっくり、一個ずつ……丸めていく。最初はべちゃべちゃだったけど……ペシャンコになっても丸はなんとか出来たわ!
生地が出来たら、フライパンに生地を並べて。
「ここからは火を扱うので私が」
コンロだけど、サリー姉はともかく……あたしとミラクルはちっちゃいから。
火の扱いはまだまだ早いんだって。お菓子作りでも……焼く時はシェトラス達にお願いしてるのよね?
まずは……少し火をつけて、ふわーんと甘い匂いがしたら、シェトラスがフタをしたわ。
『ご主人様ぁ! 時間短縮でしゅ!』
「うん!」
ここで使えるなら使わなくちゃ!
あたしは、唱えてから……数字をさーっと動かしたわ。
ピカって、フライパンが光って……フタをシェトラスが開けると、ふんわりした生地が!!
次回はまた明日〜




