第141話 劇物への挑戦
お待たせ致しましたー
あんな草の根っこみたいなのが、オスシといっしょだと美味しい?
ちょっと信じられないけれど、お母様の顔が生き生きとされているから……すっごく合うのかもしれないわ。
けど、切って刻むんじゃなくて……ギザギザの板の上でごりごりし出した。固いチーズを細かくする時に使うから、あれは『すりおろす』って教えていただいたことがある。
「ほお? すりおろすことで独特の香りと辛味のようなものが伝わってきますな?」
「そのまま食べるには、少し慣れが必要ですが……このいくらを使ってなら」
小皿にごはんといくら。その上に、すりおろした緑色のわさびをほんのちょっと乗せた。もっと乗せなくていいのかと思っていると、お母様があたしを見てくすくす笑っていたわ。
「なんか変な顔してた?」
「ふふ。もっとたくさんと思ったでしょう? わさびは、マスタードよりも辛い場合もあるから、ほんのちょっとでいいのよ」
「え!?」
あたし、マスタードたくさんはダメだから……それはいやだわ!
もっとちっちゃい頃に、不思議に見えたあれをいっぱい口に入れたら……辛い以上に口の中がすごく痛くなったので、以来サンドイッチにもあんまり入れないようにしてもらっている。それくらい、お父様とは違う意味で辛い物が得意じゃない。
正確には、びりびりする痛みがくるの、はだけど。
「だけど。このわさびはお寿司には本当に合うの。ちょこっとだけ、試してみる?」
「……お母様が、そうおっしゃるなら」
お母様が美味しいとおっしゃるものは、ほとんどが美味しいものだもの。
辛いけど、美味しいものなら……と、お母様にまぜまぜしてからと教えていただいてからスプーンでちょっとすくって口に入れてみたんだけど。
ちょっと、不思議なぴりっとした感じはあったのに。
少し、爽やかに似た風味がとても心地よくて。
普通にいくらを食べただけでも美味しかったのが、もっと美味しく感じたの!
なんというか、食べやすくなった?感じ??
「どう? リーシャ?」
「……食べやすいの。おいしい!」
「ふふ。ちょっとなら大丈夫でしょう? お師匠さんもいかがです?」
「是非に!」
お師匠の爺様は好みなのか、かき込むように食べていったわ。辛い物が得意な人は、たくさん食べられるのね? お父様はこういうの……大丈夫、じゃないと思うわ。
甘いものはともかく、辛いものはお母様の料理以外あんまり食べようとしてないもの。
「お母様。オスシにも、これをどう使うの?」
それはともかく、本題に戻るわ!
「そうね? にぎりにはお米とネタの間に少量挟む程度。丼とかだったら、今のように量を自分で調整する感じね」
「わぁ……! けど、こういうのって、サンドイッチとかにも使えるのかしら?」
「使えるわ。具材の選別は限られるけれど、マスタード代わりの調味料にも出来るの」
「やってみたいわ!」
『みゅ!』
ロティ風に言うなら、『レッツクッキング!』よ!!
次回は日曜日〜




