第116話 受け入れられて
お待たせ致しましたー
あったかい。
うとうとしてきたけど……まだ寝たくない。
せっかく、セシル兄があたしの許婚さんになってくれたんだもん。手は握ってもらっているけど、まだ離したくない。ずっとセシル兄と一緒にいたいの。
でも、まだそれぞれのお家の事もあるから、セシル兄は帰らなくちゃいけないんだ。わかっているけど、寂しくなるからぎゅっと手を握っちゃう。
「リーシャ? 俺はここにいるよ?」
「……けど。帰っちゃうんでしょ?」
「仕方ないけどね。またすぐ来るから。これからはずっと一緒だし」
「……うん」
きちんと申し込みは受けたけど、あたしは今は風邪。
ちゃんと寝て休んで、体をしっかり治して……そこから、セシル兄とあいさつし直して、『婚約』するんだ。
だから、今はしっかり寝なきゃいけない。
うとうとしてくると、セシル兄にほっぺにキスをされた気がするけど……次に目が覚めたら、やっぱりセシル兄はもういなかった。
「……汗凄い」
だるさとかはだいぶ落ち着いたけど、汗が凄くてパジャマがびしゃびしゃ。ミアを呼んで、クローゼットからパジャマを出してもらい、体には浄化の魔法もかけてもらう。
綺麗さっぱりになったら、お腹が空いてきたのでベルを鳴らしてメイドの一人にご飯を持ってきて欲しいとお願いした。
「リーシャ? 落ち着いた?」
ご飯はメイドと一緒にお母様が持ってきてくださって……ご飯は、風邪の時に食べられるチーズ入りのお米のリゾットだった!! あたしの大好きなご飯!!
「うん! のどもせきも大丈夫!」
「良かった。ご飯食べたら、軽くシャワーでも浴びる? 浄化はかけてもさっぱりしたいでしょう?」
「うん!」
お母様も一緒に入ってくださることになったから……その時に伝えたの。セシル兄が来てくれて、告白してくれたこととあたしがお受けしたことを。
全部伝えたら、お母様はにっこり笑顔になったわ。
「そう。無事に結ばれたのね? 良かったわ」
「これで、婚約なのかな?」
「事実上はね? あとは婚約式をしなきゃだから、お母様がリーシャたちの好きなものをいっぱい作ってあげるわよ?」
「わーい!」
お母様のご飯大好きだから、すっごく嬉しい!!
でも、お母様のご飯も好きだけど……自分とセシル兄のことだから、あたしも作りたいな? それを言おうとしたら、お母様から提案してくださったの。
「作りたそうにしてるから、リーシャも何か作る?」
「いいの?」
「ええ。お母様とお父様の時もそうしたの」
「お父様喜んでた?」
「ええ。お兄さんと争う勢いでがっついてたわ」
「……伯父様」
お父様もだけど、伯父様も本当にお母様のご飯大好きなのね。
そこからは何を作るか話し合って、あたしはまだ二、三日は安静にしなくちゃだからゆっくり休むこととなった。
次回は火曜日〜




