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第114話 大風邪引いて②(セシル視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(セシル視点)









 風邪で辛そうなリーシャが、俺に何か言いたそうにしていた。無理をしないように寝ていた方がいいのは、俺が一番わかっているのに。俺はリーシャがしたいように手を掴んであげた。


 少ししっとりした感触だけど、柔らかくて熱い。


 熱があるから当然だが、俺はリーシャの手を両手で掴んでやった。



「どうした?」


「……セシル、兄。いなくならない?」


「ならないよ。リーシャの側にいるから」



 本当なら、寝たら退室して公爵夫人に挨拶の日取りを改めて決める予定ではいたが。リーシャが望むなら、しばらくここに居よう。


 レクター先生の特効薬を服用してても、すぐに治る様子じゃないからか症状は重いのはわかる。


 レクター先生は今日この屋敷にいるから、また診察してくれたとしても……この愛しい幼馴染みが居てほしいと望むなら、それを叶えてあげたい。


 だって、ここまで弱った身体の時にそれを望むと言うことなら俺の期待だけで終わるわけがない!



「……あの、ね」



 とりあえず寝ようかと言おうとしたら、リーシャが言いたいことを口にし始めた。


 だから、俺は言おうとしていた言葉を飲み込んだ。



「何?」


「……ほんとはね。あいさつの時に……聞こうと思ってたの」


「うん?」


「セシル兄……なんで、申し出してくれたの?」



 わかっているかもだけど、俺の口からちゃんと聞きたいのだろう。リーシャは聡い子だが、確証も無しに決定しようとはしない。俺もそうだけど……ここまでくると、俺はリーシャの気持ちを汲んであげたくなった。


 お互いに、それぞれどう思っているのかを。



「聞きたい?」


「……聞きたい」



 ずるい質問をしたが、リーシャが欲しいと言ってくれたので……ここは公式の場じゃないけど、きちんと伝えようと握ったままの手をもう少し強く握った。



「俺は、君が好きだからだよ。リーシャ、婚約を前提にお付き合いを申し込みたい」


「……ほんと?」


「本当。君に熱がなきゃ、キスしたいくらい」


「……ふふ」



 ちょっと動いたからタオルが落ちたけど、赤い顔のリーシャは辛そうでもすっごく可愛かった。本当に、今すぐキスしたいけど我慢だ。


 子どもでもキスって欲望がないわけじゃないから……。



「別の日に改めて申し込むけど、受けてくれますか? リーシャ=コルク=ローザリオン嬢」


「……受けます。セシル=アルフガーノ殿」


「やった!」



 強くじゃないけど、ぎゅっと抱きしめてあげた。リーシャの気持ちが本当に俺と同じものだとわかって嬉しくなって、つい抱きしめたが……彼女は嫌がっていなかった。リーシャも嬉しいんだってわかって、俺はさらに嬉しくなる。



「……セシル兄、婚約者?」


「うん。……将来はその呼び方やめようか?」


「…………まだ、しばらくは呼びたいな」


「まあ、子どものうちの特権だからね」



 呼び捨てしてほしい気持ちもあるが、その願いはしばらく受けてあげよう。

次回は水曜日〜

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