第103話 自信を(セシル視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(セシル視点)
「……なんだって?」
俺は、公爵家から届いた魔法鳥が父さんじゃなく……宛先が俺になっていた。父さんに呼ばれて、執務室に来たら……それを渡されたんだ。
魔法鳥の解除呪文をつぶやき……中の手紙を読んだら、その内容に俺はびっくりしてそんな声を漏らしてしまった。
「お? なんかいい知らせか?」
「……今度の、孤児院への差し入れ。俺にも手伝って欲しいって」
「重要な役目じゃねぇか?」
「……いいのかな」
子どもでも男の俺が行ったとこで、役に立つだろうか。
リーシャが差し入れに出たのはまだ一度だけだ。その補助要員だとしても……俺はただの子ども。殿下や公爵夫人のように、特別料理が作れるわけじゃない。
「わざわざ、夫人が寄越してくれたんだろ? 嬢ちゃんにも久しぶりに会えるんだから、喜べよ」
「……うん」
素直に喜んでいいだろうけど、俺はリーシャって女の子を好きな男だ。
邪な感情はなくもないけど……リーシャは可愛いから、孤児院の子どもの中でも慕う子が出るかもだなんて。
情けない感情が出てしまうんだ。それくらい……俺はあの子が好きなんだ。好きだって自覚してから、ずっとずっと想ってしまう。
まだまだ迎え入れられない年齢でも、本気なんだ。
だから、逆に臆病になってしまうんだよ。
「……はあ。お前は!」
弱気になっていたら、父さんに小突かれた。強くはないけど、ちょっと痛いくらい。
びっくりして顔を上げれば、父さんは苦笑いしていた。なんでそんな表情を?
「……父さん?」
「身分差の問題はほぼねぇだろ? 俺とお前は違う。立派なアルフガーノ家の嫡子だ」
「……そうかもだけど」
「だったら、自分を鍛えろ。自信が持てるくらい。その手伝いくらいはしてやる」
「! ありがとう……」
父さんの力強い言葉に、俺は涙が出そうになったけど泣かなかった。父さんと母さんは、周りの強い反対があったのに、立ち向かって結ばれたんだ。
その息子として、誇りは失っちゃいけない。
俺は……リーシャにいつか想いを伝えられるくらい、強くていい男になるんだ!
公爵夫人への返事には、『喜んでお受け致します』と返したのだった。
次回は金曜日〜




