表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/200

第103話 自信を(セシル視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(セシル視点)









「……なんだって?」



 俺は、公爵家から届いた魔法鳥が父さんじゃなく……宛先が俺になっていた。父さんに呼ばれて、執務室に来たら……それを渡されたんだ。


 魔法鳥の解除呪文をつぶやき……中の手紙を読んだら、その内容に俺はびっくりしてそんな声を漏らしてしまった。



「お? なんかいい知らせか?」


「……今度の、孤児院への差し入れ。俺にも手伝って欲しいって」


「重要な役目じゃねぇか?」


「……いいのかな」



 子どもでも男の俺が行ったとこで、役に立つだろうか。


 リーシャが差し入れに出たのはまだ一度だけだ。その補助要員だとしても……俺はただの子ども。殿下や公爵夫人のように、特別料理が作れるわけじゃない。



「わざわざ、夫人が寄越してくれたんだろ? 嬢ちゃんにも久しぶりに会えるんだから、喜べよ」


「……うん」



 素直に喜んでいいだろうけど、俺はリーシャって女の子を好きな男だ。


 邪な感情はなくもないけど……リーシャは可愛いから、孤児院の子どもの中でも慕う子が出るかもだなんて。


 情けない感情が出てしまうんだ。それくらい……俺はあの子が好きなんだ。好きだって自覚してから、ずっとずっと想ってしまう。


 まだまだ迎え入れられない年齢でも、本気なんだ。


 だから、逆に臆病になってしまうんだよ。



「……はあ。お前は!」



 弱気になっていたら、父さんに小突かれた。強くはないけど、ちょっと痛いくらい。


 びっくりして顔を上げれば、父さんは苦笑いしていた。なんでそんな表情を?



「……父さん?」


「身分差の問題はほぼねぇだろ? 俺とお前は違う。立派なアルフガーノ家の嫡子だ」


「……そうかもだけど」


「だったら、自分を鍛えろ。自信が持てるくらい。その手伝いくらいはしてやる」


「! ありがとう……」



 父さんの力強い言葉に、俺は涙が出そうになったけど泣かなかった。父さんと母さんは、周りの強い反対があったのに、立ち向かって結ばれたんだ。


 その息子として、誇りは失っちゃいけない。


 俺は……リーシャにいつか想いを伝えられるくらい、強くていい男になるんだ!


 公爵夫人への返事には、『喜んでお受け致します』と返したのだった。

次回は金曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ