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長屋のチョウスケのはなし  作者: ぽすしち


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20/22

しあわせものよ

 



 

「――― あとはもう、・・・叫んで一目散に逃げ帰ったよ・・・」


「・・・それで?・・その旦那は?病気にでもなったか?」


「いや、旦那様は変わらねえさ。だって、ありゃあ、女たちに祟られてるわけじゃねえんだよ。ただあの三人が、旦那様のことが好きすぎて、ああやって出てきてる。 旦那様もそれが嬉しい。―― だからありゃ・・・、本当はとりつかれてるって、いうんだろうけど、・・・本人には何の毒もねえからさ、・・・旦那様は、―― 困ってねえんだ」



 困ったのは、チョウスケのほうだ。


 あれ以来、庭が怖くて手入れを頼まれるのも嫌だし、なにより、花をつける木がこわい。



 さらに言えば、あの三本の木には、近寄りたくもない。

 



 次の日、重い足取りでイワシタの家に着き、朝の挨拶に笑ってうなずいた旦那のその顔を、しっかりとみることはできなくなっていた。

 


 おまけに、――――。


「なあ、ヒコさん・・・、おれ、・・・あれから女がよお・・・こわくってよお・・・」


 できねえんだ・・・・とうつむく男のつむじをみながら、笑いをこらえ、財布をさがす。


「チョウスケ、そりゃおめえ、いい薬になったじゃねえか」


「そんなあ~。使いもんにならなくなるなんて、あんまりだ・・・。でも、おれのことよりも、旦那様だよ」



 翌日は、さすがに挨拶をするのが精一杯で、あのことについて何もいえなかったが、その次の日には、やっぱりはっきりさせておこうと、チョウスケはあの夜のことを聞こうとした。


  だが、洋間でコチコチと動く時計の前、先に口を開いたのは、旦那のほうだった。



 

 ――― チョウスケ、あれは、おまえの夢だ


 

 そんなわけはない。

 



 だが、続けて出た言葉に、チョウスケは、黙り込むしかなかった。




 ――― おれは、しあわせものよ




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