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長屋のチョウスケのはなし  作者: ぽすしち


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19/22

なあ、チョウスケ



 そう言って旦那が笑う声は、どこにも『困る』ようすなどうかがえない。


 それどころか、チョウスケを実際に会わせてみたが、やはり女が自分を選んだことを、自慢するように喜ぶ。

 


 ――― いやいや、チョウスケ、残念だったな。聞いただろ?オタマはこのおれのほうが、良い男だと言っていたなあ。おまえはそんなに若くて、顔かたちもいいのになあ

 ――― い、いえ、旦那様、その・・・オタマ様の言葉はもっともでございますが、・・自分には、あの・・・声が、聞こえませんで・・・

 

 声をしぼって言ってみる。

 


たしかにフシギで怖かったが、あの女たちは旦那様の女だという考えが頭をよぎり、『怖い』とか『気持ち悪い』という感想は、喉奥にしまいこみ、ただ真実を口にした。

 


 すると、むこうをむいたままの旦那が気持ちよさげに高笑いし、煙管をかつんと盆においた。

 


 ――― そうか、そうか。声すらも、おまえには聞こえないのか。そうなのか

 

 息をひくようにしまい、旦那がようやくこちらに身をひねった。

 




 ――― そりゃあ残念だ    なあ、 

             

            

            ちょお《ちょうすけ》すけ  ?

 


 ふりむいた男の顔の中、両頬と額にもりあがった三人分の目玉がチョウスケをみつめ、旦那がよばったこちらの名前が、ぶれたように、女たちの声と重なった。

 

 



 





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