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そのままにしとく
あわててそれに口をよせて吸い取る男は、またしても、もごもごと、「『いやなこと』ってのとは、ちがうんだなあ・・・」と唇をなめた。
もう、うんざりしていたヒコイチは、じゃあなんだ、としかたなく聞く。
チョウスケは、思い出したように背をのばし、改めたように口を開いた。
「―― 実は、おれもどうしたらいいのかわかんねえから、こうしてヒコさんにきいてみようと思ったのさ。 ・・・どうにも、・・・旦那様は、『フシギ』を、そのままにしようとしてるみてえで・・・」
「・・・困ってんじゃ、ねえのかい?」
「ねえんだなあ。―― ありゃあ・・・」
腕を組むチョウスケが、低くうなるように、ことの次第を語りだす。




