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第7話 追放されたグループから呼び戻しを受ける『落ちこぼれの挑戦』の3人

『落ちこぼれの挑戦』のメンバーは少女と会わない日は、エリザベスの好意で、公爵家お抱えの魔導師や騎士、ポーターの元でそれぞれ教えを乞うていた。


 一番、頭角を現したのは、自らを落第魔法士と呼ぶローザだった。


「・・貴方、補助魔法系統の方が向いているわね。無詠唱レベルよ。何故、魔法学院ではメイン魔法の方に進んだのよ」


「えっと、私は魔術師の家系で、兄と姉が行っていたからかな。メイン魔法以外は魔法じゃ無い家風だったかな」


「それは古いわね。貴方、沢山努力したでしょう。伸びが違う・・とにかく、ローザ、もったいないから私の弟子になりな。公爵家の仕官の話、通してあげるわ」


「まだ、皆と冒険者やりたい・・かな。依頼があるかな」

「依頼、終わったら、うちにきなよ」

 ローザは即答できなかった。



 フランは充実した訓練を受けていた。


「今日は、ここまで、女騎士の宿舎で筋肉をほぐすマッサージをしてもらえ。話は通してある」


「はあ、はあ、はあ。有難うございます」


「剣術、走力、体術、全て、中級よりも少し上、しかも、フラン、仲間を守るために特化した練習していたな。

 それじゃ、伸びない。

 地力を付けて、単独で強くなってこそ、仲間を守れると知れ」


「ウグ、有難うございます!」


「ショックを受けている暇はないぞ!得意技の無い者は全てを上げるしか方法はない!」


 一方、ハンスはショックを受けていた。


「こ、これは・・」


「ああ、年代物の報告書を集めた本だ」

「俺は、今まで何をしていた・・・俺が経験したこと皆書いてあるじゃないか?」

「ハハハ、お前さん。自分の経験と周りの冒険者から、聞いた話で、物事を見ていた。本というものは、視野が一気に広がるぞ」


「ローザが何故、暇を見つけては本を読んでいたか。やっとわかった」


「しかし、経験がないと、本を読んでも実感が出来ない。お前さんのやったことは無駄ではない。

 それに、過去の例から言うと、ポーターも武術必要じゃぞ。上に行けば行くほど、職種の境は無くなる。

 向いてなかろうと、武術を練習するのだ。練習するだけで、仲間は安心する。でないと上にはいけんぞ」


「フランが何故、いろんな職種を練習していたかわかった・・」



 ☆☆☆冒険者ギルド併設の酒場


「ねえ。皆、あの子のことだけど、どうする?仲間に入ってもらうのはどうかな」


「良いと思う。だけど、俺の仮説が正しければ、あっという間に、俺たちを追い抜くよ」


「私も、そう思う。あの子の力、無詠唱レベルの魔法、しかも、連発している」


「「「・・・・・・・・」」」


「「「良かった!」」」


「あの子がどの道を選ぶかわからないけども、神殿の聖女様、回復士、冒険者、でも、冒険者を選んだら、最初は私たちよ」


「ああ、そして、あの子が俺たちを追い抜いたら、

『君はうちではもったいない。S級冒険者グループに追放だ!』

 って言ってあげる」


「笑えないかな・・・もっと違う言い方を」

「でも、あの子、優しいから、厳しく言わないと、私たちに合わせようとする。それはお互いにとって不幸よ」


 ザワザワ


 酒場に冒険者の一団が入ってきた。

 そのリーダーは

 ドン!とハンスの肩を叩く。約10名の冒険者グループが彼らのテーブルを囲む。


「よう。面白い話をしているな。俺も混ぜてくれよ」


「「「ファルコン!」」」


「はあ、ファルコンさんだろ?喜べ、また、俺のグループに呼び戻してやる」


「ヒヒィ、知ってるぞ。お前ら、暴虐令嬢にうまく取り入って、仕事もらったろ。俺らも、地図提出したが、

『そ、貴方たち、実際に行っていないでしょう。古い地図に点を付けただけではお金払えないわ』

 とか抜かしやがってよ」


「「「お嬢様のこと悪く言うな」」」


「しかもよ。忌み子?気味の悪いガキをさらう仕事だろ?俺らも一口混ぜろよ」


「「「あの子の何を知っているのよ!」」」


「お、地図か、どれどれ、文字びっしり書き込みやがって、俺たちは文字が読めない。地図は単純な方がいいぞ。全く」


「勝手に見るな!公爵家の兵は皆文字読めるよ!」


「絶対に嫌、私とローザにいやらしいことをしようとして、断ったら追放したくせに!」


「そうだよ。いさめたハンスをウザいハンスと悪評をまき散らして追放したかな。許せないかな」


 ・・・


「おい、もめ事だぜ!受付の姉さん。ギルマスを呼んでこいよ!」

「今、お留守です。お屋敷に行かれました」


 周りは止めようとするが、躊躇する。今、冒険者ギルドには、ハゲタカと悪名高いB級の『狼の群』よりも格上の冒険者はいない。


「「「絶対に嫌!」」」


「そうか、表に出ろ。入ると言うまで痛め付けてやる。エリザベスには、俺がリーダーに」


「あら、呼んだかしら?」


「あ、黙ってろ。会話に割り込むじゃねえ。馬鹿女・・」

「「「エリザベス!・・・様」」」


 エリザベスが護衛騎士とギルマスを伴い冒険者ギルドに来ていた。


「何故?私が、平民の会話に、いちいち気を使わなければならないのかしら」


「へへへへへ、グシシシシシッ、こいつら、俺の舎弟でして、また、呼び戻してあげようとしています。余りにも不出来だったので、追放しましたが、お嬢様の目にとまったときいたので、俺が直々に、鍛え直してやります。

 俺のB級『狼の群』に仕事を任せてもらえれば、失敗は万に一つもあり得ませんぜ」


 ファルコンは一瞬で態度を豹変した。

 しかし


「そ、『野犬の群』?でしたっけ?フランとローザとハンスがいたときは破竹の勢いで昇級していたけども、三人を追放してから、クエストは失敗続き。不思議よね」


「・・へ」

 ぐうの音も出ない。


 冒険者は上に行くほど、きめ細かい仕事が要求される。三人が引受けていた。


 フランの斥候

 ローザの隠蔽魔法

 ハンスの道案内


 今、『狼の群』には大声を出して剣を振り回す人しかいない。

 いきなり魔物に襲われたり、宿営地を荒らされたり、目的地にたどりつけなくなり、クエストが失敗続きだ。


「D級、いや、E級に降格も覚悟しておけ。失敗は何回目だ」

 ギルマスもこの問題は承知済みだ。


「へへへへ、調子が悪いだけでさ。また、デカいのドカンとやります。エリザベス様、それよりも俺のグループのこと、よく知ってますね。もしかして、注目していたのですか?」


 エリザベスが自分のグループ名をわざと名前を間違えたのはスルーして、取り入ろうとするが


「公爵家のお抱えにしようとする冒険者は調査ぐらいするわね。『落ちこぼれの挑戦者』以外興味ないわ」


「「「お嬢様?!」」」


「そ、クエストの最中に、次のクエストの話をするのは、縁起が悪いけども、変な虫が付いても困るわね。貴方たちに、公爵家の調査団の先遣隊を考えているの」


 魔族との講和がなった現在、魔族領ギリギリまで、開拓をしようと計画をしていた。


「勿論、今の貴方たちでは、足りないわ。強力なアタッカーが不可欠ね」


「お嬢様、あの子が・・」


「そ、奥で聞きましょう。それにあの子のお話も聞きたいわ」

「わかりました。応接室を用意しましょう」




 ☆☆☆冒険者ギルド応接室


「・・そ、わかったわ。行っていいわ」


「「「お嬢様、有難うございました!」」」



 数十分後、3人は元気に、応接室を出た。



「ギルドマスター殿、あの三人に変な虫が付かないようにお願いします」


「も、もちろんですとも。それよりも・・」


「ええ、わかっているわ。冒険者ギルドは中立よね。私は一般人として、クエストの書類を見に来ただけ。貴族なら、応接室で見せてもらえるのよね。一応、私も冒険者登録しているわ」


 今日、エリザベスが来たのは、クエストの確認のためである。

 一冒険者が、クエストを見に来た体裁を取っている。


「・・・旧アップルフィールド領に、傭兵のクエストが急増中。1日、銀貨10枚(10万円)まで跳ね上がってます」


「人が集まらないのね・・・・まあ、集まったところで、まとめて殺せば、少しは治安が良くなるかしら」


「ハハ、ギルドマスターとして、お答え出来ません」




 戦争勃発まで、後わずかだ。



最後までお読み頂き有難うございました。

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