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第4話 悪役令嬢、教団の使者と対面する

「我が指導者より、お嬢様に、贈り物でございます。右から、ザック・オリハルコン栄光章の盾、その賞の栄誉賜下金大金貨100枚に・・・」


 今、公爵令嬢エリザベスは公爵家の接遇の間において、あの少女の父、ザックが主催するオリハルコン教団の使者の口上を聞いていた。



「アルキデス、この使者を斬りなさい」


「御意!」


 しまった!この女の暴虐の量を見謝ったか?

 ええい。口を回れ


 とオリハルコン教団の使者は、必死に舌を回す。


「お、待ち下さい!ザック師を引き続き代官に任じて頂ければ、更に高額な税をきちんとお支払います!我等は、ガアア」


 言葉途中で、彼女の護衛騎士に、使者は斬られた。


「馬鹿ね。私に『下賜』と言う時点で、アウトだわ」


「「「「公爵代行様、その通りでございます」」」


「次、お前、面白いことを話しなさい」

 と斬られた仲間に驚愕しているもう一人の使者に話を振った。


「そんな無法が通るか!いや、わ・・我が、ザック師は名誉王国アカデミー顧問なるぞ!帝国名誉図書館評議会員、聖王国書店ギルド名誉相談役・・・」



「ああ、もういいわ。私はドングリ孤児院の名誉院長よ。そいつはサンプルとして連れて行きなさい。屋敷に逗留して頂いている精霊教の司教様に調査をして頂きなさい」


「「「御意」」」





 アレクサンドル公爵令嬢エリザベスの父は、エリザベスの義妹が貴族学園淑女科の入学に伴い後妻と共に、王都に向かった。当主決済印と委任状をおいて、辺境の領地から去った。


 溺愛する妹の方と別れたくなかったからだ。


 しかし

 エリザベスの父は勘違いをしていた。この代理は臨時のもので、また、義妹が卒業したら、領地に戻り、妹の方に婿を取り、公爵家を継がそうとしていたが、王家は、エリザベスが当主になる前の準備期間の代行として、当主代理を許可した。


 辺境伯の役割も担う要衝の地を守る役を簡単に投げ出すエリザベスの父を見限っていた。



 ・・・オリハルコン教団が実効支配している旧アップルフィールド領は、領主不在として、王命によりアレクサンドル公爵家の領地とされていたが、


 今までは賄賂を送って、もみ消していたが、父と義母と義妹を王都は王都に移住し、領地には長女のエリザベスだけが残った。

 その結果、所謂、邪教問題にも容赦なく切り込む。



「ねえ、セバン、あの領地の税率は?」


「・・・あの教団は収穫高の8割取っています」


「そ、じゃあ、穏便案は却下、討伐するわ。ギリース、フランクを呼びなさい。それと、調査を依頼していた冒険者もよ」


「御意!」


 ・・・二人の騎士団長、若手のギリースと、老練のフランクと、調査が得意技の冒険者グループ「落ちこぼれの挑戦」のメンバーらが招集された。


 エリザベスは斥候や冒険者と直接会い。騎士団長たちと話を聞くことにしている。共通の認識を作るためだ。


『落ちこぼれの挑戦』のメンバーは、膝を折り、エリザベスに挨拶をする。


「「「お嬢様に拝謁・・」」」

「挨拶と儀礼は省略、いちいち座礼を取らなくていいわ。貴方たちが一番、教団の近くに拠点を作ったグループね」



「「「有難うございます!」」」

 通常の兵よりも、依頼料と言う名の高額なお金が支払われる。その分危険な仕事を行う。


 ポーターのハンスが作成した地図を基に

 ハンスが話し、他の二人が補足する形で、領内の教団の施設、砦などの軍事施設を説明する。

 事実と、推測を分けて話す姿勢にエリザベスは好感を持つ。


「お名前はフランとハンスとローザよね。

 お前たちが作った要図・略図はわかりやすいわ。

 要点を強調して書いていて、漫画のようね。古い地図に点を記しただけの他の冒険者とは別格ね。

 それに細かい所も調べている。初めてでも行けるわね」


 二人の騎士団長も見ながら同意する。


「仰るとおりです」

「魔法で写して、配りましょう」


(((褒められた!だけど、マンガって何?)))

 と三人は内心歓喜した。彼らは依頼主の都合の悪い事も報告するので、切られることが多かった。


「セバン、クエスト完了証明書を書いて渡してあげなさい。依頼達成率はAで・・」


「待って下さい!」

「待って、お嬢様」

「話聞いて欲しいかな」


 三人はエリザベスの話を遮った。


「無礼者が!」

 と壮年のフランク騎士団長が詰め寄るが


 エリザベスは、フランク騎士団長を手で制す。


「初めに儀礼省略と言ったのは私よ。許す。話しなさい」


 三人は顔を見合わせ。あの森で出会った少女のことを話す。


「・・・あの子は忌み子として、教団内で虐待を受けて・・」


「待て!」


 フランク騎士団長が、『忌み子』で反応したが、エリザベスは、また、手で止める。

 彼女も忌み子として、一族内では嫌われていたからだ。


「フランク、彼らが私の悪口を言っていないことは明白よ。過剰な気遣いは時に主君の目を曇らせる結果になるわ」


「申訳ありません」


「でも、その忠義は頼みにしています」


 エリザベスは引き続き三人の話を聞いた後。納得する。


「そ、悪人に虐待されているから、善人というわけね。彼女は討伐から外すわ。折りを見て助けなさい。追加依頼よ。報酬も出すからきっちりやりなさい」


「「「有難うございます!」」」


「何とお優しい」と周りの者達は感動したが、エリザベスの思惑は別のところにあった。


 ・・・もしかして、あの領地の正統な後継者かも、押さえておいた方がいいわね。


「セバン、アップルフィールド家の貴族籍の謄本と叙籍謄本を王都から、取り寄せて」


「御意!」



最後までお読み頂き有難うございました。



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