第15話 コップの中の嵐
☆☆☆アップルフィールド領砦
「なあ、聞いてくれよ。俺には家族がいる・・」
「へえ。そうなんだ。私は家族を殺したよ?不幸だね。だからお前ら死んじゃえ!」
「「「ギャアアアアアアアアア」」」
「ア~ハハハハハハハ~無能に殺される気持ちはどうだ!ほら、お前ら私の名前を言ってみろよ。私の名前を言うと、呪われるのだろう!」
「ヒィィ」
「助けて、助けて・・」
砦内は、少女による殺戮が続いていた。
☆
一方
エリザベスは村々の制圧は、フランクとギリースの二人の騎士団長に任せ。自身は護衛騎士と親衛隊数百を連れて砦付近まで進出していた。
・・・千はいた城兵は、ほとんど・・・殺されたわね。
殺戮する能力なら、アリサよりも上ね。
「『お姫様』が暴走して、領の外に出たら危険なの。貴女、抹殺出来て?」
エリザベスは双眼鏡で、砦の惨劇を伺っているアリサに問う。
「うん・・・危険じゃない。あの子は・・昔の私・・だ」
☆☆☆5年前、ヨトス精霊王国の王宮
「・・・せめて、家族3人で、一緒に燃やしてやろう
お前は生きながらだけどな」
・・・何故?父様と母様は殺された?
もしかして、私の知らない悪事を働いていた。
「・・・おじさん。わたし、殺される?何故、父様、母様、殺された?理由・・知る必要・・ある」
「処刑場につれていけ。公開で燃やして、民を安心させねばならない」
「「御意」」
パチン!
「な、縄を切りやがったのか?それも、力だけで」
私は両脇にいた兵士のお腹を掴み、肉をちぎった。
「「ギャアアアアアーーーーー」」
思えば、初めての殺人だ。
理由も知らずに、死にたくはない。
空間に
(緊急!緊急!)
と異界の文字が浮かんでいる。
彼らには見えないのだろうか?
「ヒィ、やはり、異世界人は危険だ。兵よ!この場で殺せ!」
☆約10分後
「・・・それ、因果関係逆・・・乱のあるときに・・・異世界人呼ぶ。異世界人いる・・不吉になった。父様、母様、悪くない」
・・・やはり、父様、母様、悪くない。母様を異界から誘拐した王が悪い。父様は母様を助けただけだ。そして、愛し合い、私が生まれた。
「ヒィ、だから、みやみに異世界人を召喚するのは反対したのです。
どうか、子供たちだけでも、助けて下さい。
この罪は、陛下と妾が償おうぞ」
「・・違う。罪を犯した・の王、だから、王妃、子供を燃やせば・・・王・・私の気持ち・・理解出来る」
・・・私は燃やされるところだった。父様と母様が殺されて、王の家族が生きているのは理不尽だ。だったら、燃やす?
王は、震えて、腰を抜かし。
王妃は子供達を庇って背を向けながら「子供だけは!」と懇願する。
「(オープン、携帯放射器召喚!)」
異世界の武器の名前は頭に浮かんでくる。
母様が教えてくれた日本語だ。
「(放射!)」
王の前で、王妃と子供達を燃やした
「「「ギャアアアアアア、お前は人の心がないのかーーー」」」
と言われれば、無いよと答えるしかない。
「父様と母様・・・の首・・弔う」
首を探した。
捜索途中なのに、次々と兵がやってくる。
「(召喚、ミニミ!)」
異国の魔道機械が空中に浮かび。
自動で、殺してくれる。
「「「ギャアアアアアアアアアーーーーー」」」
わたしは、父様と母様の首を探し当てた。
わたしでも首を持って、外に出たら、騒ぎになることは理解出来る。
だから、袋にいれ、城を出ようとしたが、大勢の者が邪魔をする。
それに、しても、お腹がすいた。
城の居住区、調理場に向かう。少し、食べ物を分けてもらおう。
理由を話せばもらえるかも。
しかし、話を聞いてくれない。
「ヒィ、異世界人だ。これでもくらえ」
包丁を投げてきたので、包丁を掴み。投げ返した。
「ギャーーー」
私の身体強化魔法だと、包丁は刺さらずに、体を通り抜け穴が空いた。
調理人なのに、人に向かって包丁をなげるとは、ヒドイ奴だ。
食べ物をもらい。収納して、大人しく城の外に出ようとしたら、兵が沸いてくる。
あれほど、殺したのに、まだ、いるのね。
「化け物を城からだすな!王の仇だ!」
パンパンパンパン!
「「「ギャアアアアアアーーー」」」
あの家に戻ろう。お庭に、父様と母様を埋葬したいだけなのに、
「・・何故、皆、邪魔・・する」
家に帰る頃には沢山の人を殺した。
父様と母様の首を木の下に埋め。
手を合わせる。
ここまで来るのに、沢山の人が邪魔をした。
だから、殺した。
騎士も、兵も、村民も、男も女も、石を投げる子供も・・
☆
「・・・何でも、射程ある。あの子の・・射程150メートル、縮地は10メートル、連続三回が限界・・と思う。300メートル・・安全距離を取ればいい・・」
「そ、さすがね」
「な、なんと、全軍に通達だ。『お姫様』に300メートル以内に近づくな」
「女の子が・・泣いているだけ。コップの中の嵐・・だよ」
「エリザベス姉さん・・・依頼、キャンセル・・する」
「そ、わかった。それで、貴女はどうするの?」
「(収納!)」
アリサが日本語で叫ぶと、武器類は消えた。
「・・このまま、会いに行く・・あの子と・・お話・・する」
「そ・・それもいいわね」
「「「エリザベス様!」」」
アリサは、ゆっくり、惨劇が続く砦に向かった。
無防備で向かう。
☆砦内
「あいつ、ザックはどこに行ったーーー無能だよ!無能が会いに来たよ!
さあ、いつものように、殴ってみろよ。水をかけてみろよ。倒してみろよ。蹴りを入れてみろよ。
お前の家族は殺したぞ!
ア~~~~ハハハハハハハハハ」
少女の心が、魔界に入り、全身が狂気に染まろうとした瞬間、アリサが、視界に現われた。
「お前は、だぁ~れ?まあ、いいか、死んじゃえーーーーー」
少女はアリサに向かって、力を放つ
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