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第14話 SSS級冒険者アリサ

「アリサ、来月12歳になるな。何が欲しい?お人形か?それとも本かな?」


「お外・・庭じゃない・・塀の外にでる、たい・・」


 と言うと、決まって父様は悲しい顔をし


 母様が話題をそらす。


「アリサ、漢字の学習をしましょうね。お外は今計画を立てているから・・・」

「うん・・」


 庭に出るときは、父様がつきそう。

 声は出してはいけない。悪い精霊がさらいに来るからだと言う。


 庭では、魔素を感じ、体中に流す訓練を行う。

 肩幅に足を開き、腰を深く落し、手を地面に平行に伸ばし瞑想をする。


 身体強化魔法だと父様は言う


 暇だから何時間もやった。何日も何年も、何十万時間やっただろうか?


 部屋の中では学習をする。母様が異国から持って来たという教科書から異国の言葉や計算方法を学ぶ。

 これも何十万回は読んだのだろう。飽きた。


 時々、母様からは、ステータスの確認をされる


「オープン!」

 空間に窓が開く、ここに書かれている言葉は異国の言葉、平仮名、カタカナ、漢字、英語。

 しかし、スキルは何もない。


「まだ、翻訳はないのね・・・あれ!」


「母様、スキル・・ある!」


「!アリサ、この武器召還は使ってはダメ。どうしても身の危険を感じたら使うのよ」


「(わかった)」

 母様の母国の言葉で答えると、母様は何とも言えない顔になる。

 嬉しいのか困っているのか。


 ☆☆☆


 12歳の誕生日

 父様が帰って来ない。

 母様は大丈夫だと言う。

 しかし、一月たつと食料が無くなった。


「アリサ、何があっても、ここにいるのよ。母様が何とかするから」


 母様は夜中こっそり家を出た。

 一週間、帰って来ない。


 お腹がすいて意識が朦朧となる。


 思いきって外に出た。

 外は綺麗な世界、食べ物を探すが、村人たちの様子が変だ。


「ヒィ、黒目、黒髪、異世界人だ!」

「不吉な異世界人が現われたぞ。騎士団に連絡だ!」


「へ?何で?」

 わたしは全く意味がわからず捕まった。

 王城に連れていかれる。

 縛られ、兵に抑えられ、王という存在の前で膝を付かされる。


「王女との婚姻を拒む理由はこれか。アルバートが逃げ出した異世界人と通じているだけではなく、子まで作っていたとはな。騎士のくせに子供向けのプレゼントを持っているから、怪しいと思って閉じ込めておいたのだ・・

 まさか、この不忠者めが!」


「陛下、どうか娘の命だけはお助け下さい!」


 縛られた父様は血の涙を流しながら、懇願していた。

 わたしはこんなときでも初めて出た外の景色が珍しくて、キョロキョロ見回す。好奇心が嫌になる。

 母様はどこにいったのだろう。


 スパン!


「えっ」

 父様の首が落ちた。

 最期、わたしと目が合う。


「おい、異世界人、お前のせいで、我国の優秀な騎士を一人失ったぞ。せめて、家族3人で、一緒に燃やしてやろう

 お前は生きながらだけどな」


 母様はいた。

 王の隣にいた家来が母様の首を持っていた・・



 ☆☆☆領都冒険者ギルド二階


「アリサ殿・・・アリサ殿、起きて下さい」


「うん・・・ギルマス、用か?飯の時間・・まだだ。眠たい」

 少し眠っていた。

 昔のことを思い出した。嫌な思い出だ。


「エリザベス様がお呼びです。至急、アトス村までおいで下さいとのこと」


「眠い・・お前を・・殺せば・・連絡は来なかったこと・・なる?」


 ・・・ヒィ、また、物騒なことを


「ハハハ、ダメですよ。エリザベス様から、巨大ドラゴン級が出たとのことです」


 ガバ!


「ヒィ、いきなり起きないで下さいよ」


「そいつ、わたし・・殺してくれる?」


 ・・・逆だろうが、全く何を考えているかわからない方だ。


「わかりません。ご自分で確認して頂くしかありませんね」


「行く!」



 ☆


「ギルマス、アリサ冒険者は、魔道馬で、アトス村の方に行きましたと・・・今、領都の城壁の門番から報告がありました」


「そうか、報告有難う」


「あの、あの方は・・・本当にSSS級ですか?17歳とのことですか」


「アホウ、間違っても本人の前で言うな。国一つ潰したお方だぞ。

 いや、正確には、王城の人々を皆殺しにしたとの話だ。

 父親と母親を殺した王国のな」


「まさか・・あのヨトス精霊王国・・数年前に勇者召喚を行った国が滅びた話は聞いたことありますが・・」



☆☆☆公爵軍宿営地付近


 アリサの出迎えを命じられた護衛騎士アルキデスは緊張していた。


 彼が出迎えを命じられた

 皆殺しのアリサという二つの名を持つSSS級は勇者と称されるが


 彼女の評判は決して良くない。


 ・・・あれは勇者の戦いではない。

 勇者は聖剣を持ち。正々堂々と魔王と戦う。

 しかし、彼女は、異世界の騎士が使う魔法杖を使うと聞く。


 魔族との講和に至った理由は、彼女の魔法杖を見た魔王が

『テッポウじゃん!ナガシノになるな』

 と自軍の不利を嘆き、軍を引いたのが大きい。

 魔王も転生者。通じるものがあるのだろう不気味だ。



 彼女は一人で死体を量産する。

 その方法も、狩人に近い。森の隠れ、時には寝転び。相手に隠れて、魔法杖で多量の鉄ツブテを放ち、一瞬で、大勢の者を殺す。

 隠れて戦う姿は、まるで夜盗だ。


 お、来たな。不思議な魔道馬で来た。


「初めまして、私はエリザベス様の護衛騎士アルキデスと申します。私はA級冒険者でもあります。アリサ殿の高名はかねがね聞いております。さあ、エリザベス様がいらっしゃる天幕までご案内します」


「う・・ん?エリザベス姉さん。いる?」


(姉さん呼びかよ!)

 ・・・しかし、何だ。こうしてみると、小さいな。

 黒目、黒髪で、肌は・・薄い。異世界人と騎士の混血と聞く。肌は父親の血か?

 言葉はカタコト、余り人と接触したことはないように見える。


 服も・・騎士の野戦服のようだが、茶色に黒、まるで狩人が森に隠れるような色合い。


 どこにでもいる少女ではないか?


最後までお読み頂き有難うございました。

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