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第11話 惨劇 ④ 妹と対面

 ☆☆☆領主屋敷


 あの少女の妹、リアンが庭でお茶会をしていた。


「まあ、そのようなドレスがあるのね。お店を、キャア!」

「肉塊が降ってきたわ!」

「空に血のような赤い液体が流れ星のように流れている!」


「邪教の攻撃ね。オリハルコン教団に嫉妬して攻撃して来るって聞いたわ」


「姉上、敵が来たかも知れません!私は兵を率いて迎え討ちます!姉上は屋敷内でご友人たちを御守下さい!」


「ええ、わかったわ。屋敷で武勲の報告を待ちますわ」


「「「キャーーー頑張って下さい!」」」


 リヒトは笑顔で、妹と令嬢たちに手を振りながら、兵と共に森に向かった。



 ☆数十分後


「あら、リヒト帰って来たわね。顔色が悪いわね。口から血を出して、それに兵がいない・・激戦だったのかしら。皆様、玄関で出迎えるわよ」


「「「はい!」」」


 ・・・


「お帰りなさい。さあ、奥でお茶を飲みながら、武勲のお話をして、友人たちと一緒に聞かせて・・・

 あら、何故、無能が後ろにいるのかしら。お前は場違いだ。屋敷に入ってはいけないといっただろうに、家畜小屋に戻れ!」


 弟の体が、急にカクカクと動き出した。


「キヒヒヒヒヒ、僕は、無能に負けちゃいました。僕はとてもノロクて、死にました。だから、僕は無能以下です。姉ちゃんも死にます。一緒に地獄に行きましょう!」


 明らかに、少女が、低く変えた声色が聞こえてくる。

 話終わると、ガクと糸が切れたマリオネットのように、落ちた。


「ヒィ、やっぱり、無能、お前は邪教なのね。ファ、ファイヤーボール」


 ・・・最近、不調だったけど、魔法が発動した。やはり、私は精霊の愛し子

 こいつを殺す!弟の敵!


 だが、ファイヤーボールは、少女の前で消滅した。


「????ファイヤーボール!ファイヤーフェニックス!」


 火炎の魔法を連発するが、また、消滅する。


 その間、少女は、光が消えた瞳で、ジィと見つめている。


 ・・・周りに、燃えない方の空気を集めて、壁を作っておけば、火炎は消える。

 この女の詠唱時間は、一秒もないけど、私の方は刹那。

 戦いは科学!


「遅い、遅い。遅すぎるよ。こんなものなの?この程度で威張っていたの?」


「はあ、はあ、はあ、無能!今日は調子が悪い。母上に言って兵で殺してもらいます!そこで待ってないさい!」


 リアンが背を向けるが、力によって、クルッとまた少女に対面する。


「ヒィ、何故?」


「調子わるいハズないだろう。それがお前の実力だ!」

「右手はもういいや。次は左手でやれ、エイ!」


 バン!


 リアンの右手が吹っ飛んだ。


「ギャアアアアアアアア」


「あ~うるさい。血を止めたげる。お前の魔法の原理を再現すると、燃える、あれ、あ、出来た!」


「ギャアアアアアア、熱いの、熱いの!」


 切断された右腕の傷に炎が沸き立つ。

 血を止めるためだ。


「さあ、魔法使いは、魔法を発動するとき、利き腕をかざすよね。左手ではどうなるのかな?それがわかるまで生かしてあげるよ」


「ヒィ、無能・・いや、貴方様は私の姉、お姉様やめてーーーーーお菓子あげるから」


「ねえ、話聞いてる・・左手で魔法を使え。私を攻撃しろ」

 ドカドカドカ!


 と足でリアンの顔を蹴り続ける。


 すると、少女は驚愕し、泣き叫ぶ。


「ギャア、ウワ、お兄さんとお姉さんたちからもらった大事な靴に、薄汚い血がついたよ。お前のせいだ!」


 ガシ!ガシ!ガシ!

 次は帽子掛け用のポールで殴り続ける。


「ヒィ、やめて、やめて、お姉様、やめて、本当は助けたかったの」


 ・・・狂ってる。

 周りにいる令嬢は恐怖に陥った。

 小便を漏らしている者もいる。

 今のうちに・・逃げる。

 腰が抜けて動けない。


「ヒィ、グスン、グスン、お願いやめて、痛いのヤダ。熱いのヤダーーお姉様―――――」


 一瞬、リアンの魂の声が聞こえた。

 ・・・この声は、私の叫び声。思えば、こいつも子供、流されても仕方なかったかも。


 しかし、次の発言で、考えを改める。


「ヒィ、グスン、仲間に入れてあげるから、お菓子あげるから、拾うほど好きだったでしょう

 ・・・返事してよ。

 家畜小屋、燃やそうと思えばいつでも燃やせたの。私、我慢したのだから、恩を返してよ!」


 ・・・口から黒いもやが出ている。こいつ、この場面になっても優越感を捨てない。

 私に謝罪もしない。


「う~ん。人間って体温を上げると、どうなるのかな。燃えるのかな」


「グギギギッギーーーー」


 リアンの皮膚は固まり、そして、苦しみながら絨毯をかきむしって、動かなくなった。


「興味深い。燃える前に死んじゃうか・・・次は、こいつら?」



「ヒィ、ねえ。私たち。あの双子嫌いだったのよ・・・何回もいさめたのよ!」

「そうよ。お菓子一緒に食べよう。ねえ、ねえ。貴方が次のホストよ。貴婦人になれる!」

「そう、そう、私たちがお茶会の作法を教えてあげるーーーー」


「そう、なら、お菓子をいっぱい食べられるように、お口を大きくしてあげる♪それ~」


 指をパチンとならすと


「「「ギャアアアアアアアアーーーー」」」


 令嬢たちの口は裂け、頭半分が無くなった。


「次は、お母様だった人かな~」



最後までお読み頂き有難うございました。

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