Attitude
レビュー執筆日:2020/3/21
●あらゆる音楽性や「仕掛け」を取り入れて放たれる17のポップミュージックを体感せよ。
【収録曲】
1.InsPirATioN
2.Attitude
3.インフェルノ
4.CHEERS
5.Viking
6.Propose
7.僕のこと
8.青と夏
9.クダリ
10.lovin'
11.Ke-Mo Sah-Bee
12.ロマンチシズム
13.嘘じゃないよ
14.How-to
15.Soup
16.Circle
17.Folktale
5人組バンド、Mrs. GREEN APPLEのアルバム。今作には17もの楽曲が入っているということもあってか、そのジャンルは非常に様々です。『インフェルノ』では速めのギターロックで駆け抜けたかと思えば、『CHEERS』ではEDMの要素を導入していますし、『僕のこと』ではストリングスを取り入れたバラードを聴かせてくれます。『Viking』や『クダリ』のように歌詞からネガティブな雰囲気を感じられる曲もあるのですか、全体的には明るくポップにまとめ上げられており、多彩なジャンルを持ち合わせながらもアルバムとして一本芯が通っているように思えます。個人的には、Aqua Timezに近いものを感じられました。
しかし、彼らに関しては色々と「振り切って」いるのがまた面白いところ。まず、ボーカル・大森元貴の歌唱技術の高さが上手く活かされており、急にファルセットを差し込んできたり、曲によって歌い方を変えたりしてリスナーを色々と楽しませてくれます。その他にも、『ProPose』では様々なフレーズを切り貼りしたようなサウンドを構築したり、『Ke-Mo Sah-Bee』ではサビで急に嵐が来たかのような轟音を聞かせたりと、随所に色々と興味深い「仕掛け」が施されています。しかも、そういった「仕掛け」は楽曲の中に「ポップミュージックの一要素」としてしっかりと組み込まれており、単なる「見せかけのインパクト」に陥っているわけではありません。
中でも特に「これは凄い」と思ったのは『ロマンチシズム』という楽曲。キャッチーなイントロ、曲を追うごとに様々な表情を見せるボーカルと演奏、歯切れの良い「人間さ」というフレーズ、終盤の「あなたに恋をする」のファルセット……等々、約3分半の中に数えきれないほどの聴き所が用意されており、「楽しい」を通り越してある種の「感動」を覚えるほどです。
ありとあらゆる手段で「ポップミュージック」というものを描こうという気概を充分に感じられ、それが見事に形になっている本作。ここまで来ると「この勢いをこのまま維持できるのか」と少し心配になってくるくらいですが、少なくとも今作に関しては「傑作」と呼んでも差し支えない出来になっていると思います。
評価:★★★★★