プロローグ 実習予告
パメラは一四歳になった。
これまで何か進展があったのか。そのような質問を自分に投げかけたとき、パメラは自信を持って答えることができなかった。
『カガハナ』と関連した方はほとんどそのままだ。ハゴール側の動向を調べたり、彼を牽制したりするのは成功的だ。ハゴールはまだパメラの方を確信していないから。しかし、パメラもアクションがまだ消極的なので大きな効果はない。ロナンとケルシードの方は依然として肯定的であれ否定的であれ接点自体がないし。
復讐も同じだ。カーライルたちを利用して情報を収集しているが、今後どうすればよいかについて役立つ情報はあまりなかった。計画樹立はまだ始まってもいない状態だし。
それでも進展があるのはベインとレイナの関係ぐらいだろうか。ほぼ一年近く経った割にはとても遅いし、レイナはまだベインと少し距離がある感じだ。しかし、以前の関係を考えれば一歩ずつ着実に前進していると言えるだろう。
「……ダメだ。そろそろ何でもしないと」
「ん? パメラ、何て言ったの?」
「何でもないわ」
セイラはパメラをまだサポートしている。
もともと彼女の目的は『カガハナ』の悪役令嬢たちを助けることだった。三人のうち二人はすでにある程度うまくいっていて、残ったのはペリスだけ。だがペリスに近づくのは容易ではなく、話しかけてもハゴールに対する感情を変えるのは容易ではないだろう。
しかもパメラ自身の周りも………いや、それは構わない。
パメラは首を振りながら雑念を払い落とした。いや、払い落としたかった。しかし、今思いついた考えが頭にくっついて離れなかった。結局彼女はため息をついた。
セイラが隣で苦笑いした。
「授業中に一体何を考えているの?」
彼女の言う通り、今は授業中だ。だがパメラは授業を全然聞いていなかった。もちろん魔法で授業内容をこっそり録画しているので問題はないが。
でもセイラが声をかけてくれたおかげで、教師の言葉が耳に入るようになった。
「まもなく高等部との合同魔法実習がある予定です。皆さんは初めてですね」
「合同魔法実習?」
パメラはぼんやりと呟いた。学園にそのような過程があったのかと思い、ちらっと聞いたことのあるような曖昧な記憶があった。あまり興味がないから聞き流したのだろうか。
教師はパメラの呟きを質問と誤解したのか、笑みを浮かべながら続けた。
「ええ、合同魔法実習です。その名の通り合同で魔法を実習してみる時間です」
「他のクラスと合同授業ですか?」
一人の生徒が手をあげて質問した。
他のクラスとの合同授業はなかなかある。魔法実習を合同でしたことはないが、他の事例があるからそれも可能だと思ったのだろう。
「いいえ、同じ学年同士の合同魔法実習は高等部に進学すればすることになります。今回の実習は中等部と高等部のクラスをまとめて行います」
「高等部? 実力の差がかなりあると思いますけれど、合同実習は成立するでしょうか?」
パメラは眉をひそめて言った。
高等部といっても生徒で、パメラ自身は高等部を魔法で圧倒する自信がある。だがそれはパメラが特異ケースだからであり、普通は当然中等部の実力が相対的に足りない。学園がそれを知らないわけではないと思うが。
しかし、教師は微笑んだ。
「だから合同実習をするんです。お互いの姿を見せて、生徒たち自ら何が足りないのかを悟るのです」
普通高等部の方が優れた実力を持っているが、どうせ生徒レベルだ。本格的に魔法を活用する職業の大人の目には、両方ともほぼ同じだ。だからこのような合同練習をするというのが教師の説明だった。
中等部は高等部の姿を見て、より上手な魔法の構築を学ぶ。高等部は同じ魔法を構成する時、何が中途半端で足りないのかを確認し、自分に残っている良くない習慣や足りない部分を点検する契機になる。
「自分が魔法をどう使うのか、習慣や補完点を直接感じて改善するための授業です。教師がすべての生徒をいちいち面倒を見ることもできないし、自ら考えることも重要ですからね」
これだ。パメラはそう思いながら微笑んだ。
ちょうど少し前に浮かんだある考えに対して、これなら対処ができる。そんな気がすると笑いをこらえることができなかった。隣の席のセイラが怪しいのを見るような目で見るのも気にならなかった。
「合同実習は一度だけですの?」
「毎年少しずつ違いますが、普通三回前後にすることになります。複数のクラスが一度に授業を行い、希望する高等部のクラスがあればそのクラスを選択して実習ができます」
まさにパメラの望み通りだった。隣にいたセイラは苦笑いした。
「貴方はアレクとやるんだよね?」
「ええ」
「二人だけで?」
その言葉にパメラは顔を少し赤らめた。曖昧な表情で答えられない彼女を見て、セイラの苦笑いはさらに深まった。
「わかった、今回はどいてあげるよ」
「……ごめんね」
「謝ることじゃないよ」
アレクと二人きりで実習をしたい。友人のセイラを排除したくはない。そんな気持ちが入り混じって何とも答えられない気持ちを、セイラは十分に察した。特に構わないし。
しかも言わなかったが、セイラもセイラなりに二人に期待することがあった。そのためにも邪魔したり割り込むつもりはない。
「……フフッ」
「よし」
二人の少女はそれぞれ違う意味で微笑んだ。
これから何をするか、何を見るか。二人の頭の中だけで多くの考えと計画が生まれた。お互いに話も質問もしなかったが関係なかった。
お互いの考えを知らなくても構わないほどの信頼があるから。
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