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二年後

 パメラはしばらく考えたいことがあると言ってセイラを先に送った。そしてアレクを見上げた。


「アレク。どう思いますの?」


「情報量が多すぎて混乱しています。でも納得できるものもあるんですね。特に手記を見た時、あんなにお怒りになったのがやっと理解できます」


「私の言うことを信じるんですの?」


「正直信じがたいという気持ちはあります。でも帳尻が合う部分もありますし、殿下の適性が『万能』なのもティステ公女の転生だからというとなかなかそれらしいです」


「ふふ、ありがとう。では……セイラについてはどう思いますの?」


 アレクは答えずにパメラの顔を見た。彼女の顔は穏やかだった。しかし、彼女の目は少しも笑っていなかった。


「疑っているのですか?」


「話自体よりも彼女の真実性が少し疑わしいですわ。前世の私は『神聖』の聖女に裏切られて死にましたからね」


「この前申し上げたと思いますが、適性が同じだからといって同じ人間というわけではありません。セイラさんはセイラさんです。聖女であることとは関係なく、セイラさんはセイラさんとして評価されるべきです」


「かなり肩を持ちますわね」


 パメラは気分が悪くなった。しかしその悪さは何か重くなく、なんとなく甘酸っぱい感じだった。さっきセイラが言ったことを無駄に思い出した。


 パメラは話題を変えたくて咳払いをした。


「とにかく、そのゲームというもののストーリーのことは後でセイラにもう少し詳しく聞いてみましょう。セイラを助けることとは別に、そのゲームストーリー自体が私とも無関係ではないので。そういえば婚約者か……」


「どうするんですか?」


 アレクの態度は平穏だった。パメラはなぜかそれが気に入らなくて小さく鼻で笑った。


「一応セイラに話を聞いてみて、もし同じ人なら婚約を避ける言い訳を探しますわよ」


 パメラは視線を向けた。さっきセイラが離れた方向だった。すでに彼女の姿は消えたが、パメラはまだ彼女の後ろ姿が見えるような感じがした。


 パメラの口に冷たい笑みが広がった。


「セイラ。貴方が信じられる人かどうかは、これから見守りましょう」




 ***




「そんなこともあったよね」


「もう! パメラ、私のことをそんなに信じられなかったの!?」


「いや、その……しょうがないじゃない。アレク! 貴方はなんで急に二年前のことを……!」


 十二才のパメラはアレクに腹を立てた。しかしアレクはニコニコして彼女の不平を聞き流した。


 パメラがアレクとセイラに会ってから二年が過ぎた。これまで三人は私的な場では互いにタメ口で話すほど親しくなった。アレクは過去に比べて感情表現がもう少し多様になり、パメラはセイラを友人として認めた。いざ二年前には彼女の真意を疑っていたということが先ほど当事者にバレてしまったが。


 セイラは頬を膨らませて不満を吐露したが、すぐにニッコリ笑ってパメラの腕にくっついた。


「じゃあ、今は信じてくれるの?」


「まぁ……そうね」


 誰かを信じて心を開く。パメラはギャンブルをする気持ちだったが、実はあまり意味がないということにすぐ気づいた。すでに自分の最大の秘密と計画をセイラに打ち明けた状況だったから。それにセイラは表と裏が同じ人だということを、二年間十分に見てきた。


 前世は信じられる人を選び間違えて裏切られたが、セイラは裏切らない――そんな信頼を持ってみることにした。もちろんセイラが裏切るのなら、相応の報復をするつもりだが。


「それにしてもセイラ。貴方本当に討伐祭に選手として参加しないつもり?」


「言ったじゃん。私は貴方のチームに入るよ。それでいいよ。どうせ私が選手として出ても貴方には勝てないんだもの」


「今年の期待の星にしては謙遜すぎる発言だね」


「何言ってるの。四大期待の星じゃない、四大。その四人のトップは貴方だし」


 パメラは苦笑いした。


 アルトヴィア帝国討伐祭。五年に一度、王族と高位貴族の幼い子供世代で、参加を望む者がチームを率いて魔物を討伐する大会だ。王国時代から続いてきた由緒ある伝統の日がまさに今日だ。


「チームに参加する騎士たちもみんな見習い騎士だったよね?」


「ええ。安全のために本隊の騎士が監督役で参加するけど、本当に危険な状況じゃないと監督役の騎士は出ないわよ」


「じゃあアレクも参加するね! アレク、貴方はもちろんパメラのチームだよね?」


「もちろん。俺はパメラの騎士だから。……そろそろ準備しましょう、お二人」


 アレクは最後に丁重な態度をとった。


 今三人がいる所は草原だ。わざわざ人が集まる前の早い時間に先に来ていたが、そろそろ人が来ていた。私的にいくら親しいとしても、皇女にタメ口を使う姿を人に見せることはできない。アレク以外の護衛は三人の関係を知っている者だけで選んで大丈夫だったが。


 集まってくる人々の面々を見ていたセイラが唾をゴクリと呑んだ。


「やっぱり討伐祭ですね。錚々たる人が多いです」


 討伐祭に参加する貴族は大きく二つの部類がある。魔法能力を磨いて自らもある程度討伐に寄与できたり、将来人を働かせる職位を目指して精進する者。そして両親にとっても後継者の将来を誇示する重要な地位でもある。それだけに、参加者の大半はすでに頭角を現している子だ。


 中でも注目される四人のうち半分がパメラのチームにいるが、残りの二人も決して甘くない。


「いらっしゃいましたか、姉君」


 その一人――パメラの弟、ベインが話しかけてきた。


「おはよう、ベイン。元気だったの?」


「親しいふりしないでください。今日は必ず姉君に勝つと言いに来ましたから」


 ベインの態度は冷ややかだった。2年前と少しも変わらなかった。……いや、違う。この二年間、ベインはより直接パメラを敵対するようになった。暇があれば彼女と反目しようとしたし、少しでも競争の要素があれば必ず喧嘩をした。


 なぜこうなったのだろう。答えのない自問を繰り返し、パメラはため息をついた。

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