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時を少し遡って一週間前。
ファンクロのデータが飛んだショックで学校で倒れてしまったぼくは、サスケ氏に家に送って貰ったらしい。
サスケ氏は女性の身体に触れる訳にはいかなかったが、これは緊急事態だったとのこと。
まあ、サスケ氏はぼくに恋愛感情もやましい感情も無いのは分かってるし、疑っても無い。
サスケ氏はある程度の事情を鳴海に話しておいてくれたらしく、目が覚めた時に側に居たのは鳴海だった。
「データ、無くなっちまったの?」
「う……」
鳴海の言葉にショックがぶり返し、再度倒れてしまいそうだったが、そこは話が進まないのでぐっと堪える。
「鳴海、どうしよう……」
「こういうのって、運営に問い合わせしてみたらデータ復旧して貰えるんじゃねーの?」
「……!それだ!」
何で今まで忘れていたんだろうか。
ぼくは起き上がり、すぐに運営に問い合わせのメールを送る。
……しかし、待てども待てどもメールは返って来なかった。
「訳分からん!!運営なんだからちゃんとサービスしろよ!!」
単に遅れているだけかもしれない……そう思いたかったのだが。
待って待って待って。
何なら2.3度追撃メールをしたりもして。
……結局、一週間経ってもメールは返って来なかったのだ。
いつメールが返って来るか分からないってことで、学校にも行けなくて。
気づけば立派な引きこもり生活。
「……何だよ……ぼくは重課金ユーザーだぞ……。この、クソ運営、クソ運営……」
「姉ちゃん、気持ちは……まあ、正直分かんねえけど。でも、姉ちゃんがそのゲームのことすげー好きだったのは分かるから。でもさ、ちゃんと飯くらい食ってくれよ……」
正直、精神病み過ぎててお腹が空かない。
何もしたくない。めんどくさい。
鳴海はぼくに気を使って食べやすいようなお粥を作ってくれてたけど、どうしても食べる気になれなくて。
もうやだ。息するのもめんどくさい……。
心配する弟の声にも耳を塞いで。
クズなぼくは死んだように眠りに堕ちた。