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「アリスを預かってくれてありがとうございます。生意気言ってすみません。アリスを返して貰えないでしょうか」
「うーん、清々しい程の棒読みだね!だけどまあ、彼も小学生だ。許してやってはくれないか?」
ルイスがキラキラした目でこちらを見ている。
許してやらないと、また七夜が酷い目に遭いそうだな……それはそれで見てみたい気もするが。
「まあ、ぼくはいいけど。アリス本人の意見を尊重したいし」
そう言ってぼくはアリスを見る。彼女はまだ怯えているように見えたが、それでも七夜が迎えに来た事実を喜んでいるようにも見えた。
「……アリスは、アリスは……」
アリスはぼくの顔を伺うように見つめ返してくる。別に、ぼくの意見なんて聞かなくても良いのに。
「アリスのしたいようにすればいいんじゃないかな。それはぼくが決めることじゃないから。ただもう二度と、こんなことして欲しくは無い、けど……」
ぼくは俯き加減で七夜に訴えた。
「何だよチビ、何か言いたいならはっきり言えよ」
「べ、別に、何でもないしっ」
うう。ぼくも思わず式部の後ろに隠れたくなってしまった。……隠れないけどさ。
というか何度もチビって言うなよ。ぼくの方が歳上なんだぞ。歳下にナメられるのつらみ。
「おねえちゃんは、アリスがいて迷惑だった?」
「……うえ?」
まさかの返答が来て、思わず変な声を出してしまった。
「アリス、七夜のとこかえりたい……。でも、おねえちゃんともうあえなくなっちゃうの、いやなの……」