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「ねえねえ!恋バナはいつきかせてくれるの!?」
アリスはたっぷりのスイーツを頬張りながら、身を乗り出して聞いてきた。
しかし、恋バナと言っても、皆にそんな浮いた話はあるんだろうか。
織華さんとかは綺麗だし恋人はいてもおかしくないけど、エジソンなんてまだ(見た目は)中学生だし。
「恋バナと仰いましても……わたくし、御付き合いしている殿方はいらっしゃいませんのよ」
「えっ、そ、そうなのか!?」
い、意外だ……!こんなにスタイル抜群で綺麗なのに!
ぼく絶対織華さんには恋人が居ると思ってたぞ!
「うちには少納言が居ますもの。恋人なんて作れる筈ありませんわ」
「ふむぅ。確かに他の男が家に住み着いておるのは、恋人としたら嫌じゃな」
「そうですわね。あの少納言のせいで恋人を作れないと言っても過言ではありませんわね」
め、めちゃくちゃ言われてるぞ……!
少納言本人が聞いていたら凹むんだろうなあ。いや、案外気にしない性格かも?
「アレが邪魔ならば消すことも可能ですが」
「ちょ、式部!怖いこと言わないの!!」
「有難い申し出ですけれど、結構ですわ。あんなのでも一応は頼りになりますし……それに、わたくし今は恋よりも優先したいことがございますので」
織華さんはここで話を打ち切った。これ以上は話すつもりはないらしい。
まあ織華さんの「優先したいこと」をぼくらに無理矢理聞く権利は無いし。
「ならはかせおねえちゃんは?」
「ワシのことかのう?ワシは……もうそういう歳はとっくに過ぎてしまいおったわ」
おっと!それはちょっと触れにくい話題だぞ!
アリス、多分その人この中で一番年上だと思うから!ね!
「……?でもはかせおねえちゃん、まだちゅうがくせい、でしょ?」
「まあ、人は見かけによらんと言うことじゃな。もうワシにとって青春だの何だのはとっくの昔に過ぎ去ったのじゃよ」
「どういうことなの?」
「……うむ。とにかく、ワシに恋人はおらんよって話じゃ」
「むー、つまんない!」
いやエジソンほんと幾つなんだ。
色々と人生達観し過ぎじゃないか?