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「わあ……!おいしそうなケーキがいっぱい!」
「見ているだけでお腹いっぱいになれますわね」
「ふむ。ワシはプリンが好きなのじゃが、プリンは無いのかのう?」
盛り上がって頂けて満足です。
でもぼくは、うう。陽キャオーラに負けそうで早々にリタイアして着席していた。
「大丈夫ですか、先輩」
「むり…しぬ……。何かキラキラしてるんだもん。ぼくなんかが足を踏み入れていいとこじゃ……」
……って、サラッと会話に入って来たけど!
何でいるの!?式部!
「女子会なんだから、着いてきちゃダメって言ったのに」
「私は常に貴方のお側におりますので」
「答えになってない。女の子だけの秘密の話とかあるんだから、帰ってよ」
「でも先輩」
ああこれは言うこと聞きそうに無いなあ。
でもぼくが良くても他のメンバーが男性同席は嫌がるかもだし。
かと言って、店の外で一人で待たせるのも可哀想な気がする。
それに式部って美形だし、一人にして逆ナンなんかされたら、嫌だし……!
「……他の子に聞いてみる。嫌だって言われたら、ちゃんとお家帰ってね」
「承知致しました」
「ん?ワシは別に構わんぞ?」
「わたくしも構いませんわ。あの下品な男でしたらお断りですけれども、式部様はそうではありませんもの」
「アリスもアリスも!それにおねえちゃんのラブラブなおはなし、ききたいの!」
ラ、ラブラブって……!別にそんなんじゃないったら……!!
「……つまり、私は同席しても宜しいと言うことでしょうか」
「ああもう、そうみたいだね!」
「先輩がどうしても嫌だと仰るのなら席を外しますが……」
「良いよ。……一緒に居てよ」
さっきから見られてるの、女の子に。
ほんとに自分が綺麗な顔してるって自覚無いんだから。
ぼくは思わず式部の服の裾をきゅっと掴む。
それを見て、アリスが嬉しそうに「きゃあっ」と声を上げた。
「……先輩の仰せのままに」
「ばか。嬉しそうな顔しちゃって」
念の為に言っておくが、これでぼくらは付き合っていないのである。