8-9
「お待ちあそばせ!!」
「お待たせ。待たせ過ぎちゃったか?」
こ、この声っ……!!
多分皆さん(メタ発言)がお待ちしていたであろう、この声はっ……!!
「お、織華さん!少納言!!」
「お待たせして申し訳ありませんわ。空間が切り離されていて、なかなか手が出せませんでしたの」
「ただ、ターゲットが倒されたことによって元の空間に戻って来たからな。ようやくボクらの出番って訳さ」
「あ、あうあうあう〜!!ううううぅ!!」
ああもう安心し過ぎて上手く喋れない!
た、助けに来てくれたんだよね……!?
「ほら、落ち着きなさいな。もう大丈夫ですから」
「ゆ、油断っ、油断させて、実は敵とかじゃないよねっ……!?」
「……まあ、そんな卑劣なことをわたくしがする筈ありませんわ。わたくし、卑怯なことって大嫌いですのよ」
「お嬢は正々堂々に拘る女だからな。彼女のことは信頼していい」
「あなたに説明されるのは癪ですけれど、そういうことですわ。わたくしたち、芋煮さんを助けに来たんですの」
「てな訳で、怪我人は無理しないで下がってな」
「……恩に着ます」
流石の式部も素直に少納言の言うことを聞いてくれた。
まあ、この状況で喧嘩もしてられないけど。
「あなた、随分好き勝手してくれたそうですわね。この辺りがわたくしたちの行動範囲だと知っての狼藉かしら」
「どうやらお嬢はマジギレみたいだ。まともな奴ならとっとと逃げるが……どうする?」
物凄く頼りになる二人が現れてくれたことで状況は一気に有利になった。
このまま退いてくれれば……!
しかし、七夜は式部を見て……鼻で笑ったのだ。
「……アンタは気づいてたかもしれないけど、オレはまともじゃないよ?……アリス!」
「えっ……?し、七夜!アリス、スキルは一回しか使えないって……」
「知るかよ。さっさと使えよ、命令だぞ」
「……!う、うんっ……」
やばい!
時を止められたら流石に織華さん達でも……!
「……っ、きゃあ!」
しかしその心配は要らなかったようだ。
何故かスキルは一瞬しか発動せず、よろめいている隙に織華さんがアリスを捕らえる。
「お前!何失敗してるんだよ!!」
「ご、ごめんなさ……!」
「もう無駄ですわ。わたくし、SR程度なら潰せる実力を持っていますの」
「あ、痛い……っ!」
「子供だからって遠慮致しませんわよ。この子を離して欲しければ知っている情報を全てお出しあそばせ」
わわっ、織華さんの目がマジだ……!
多分、あの人は本気でSRのキャラクターと渡り合えるくらい強いのだろう。そこは疑わないけど。
「……チッ、役立たずが。ルイス!退くぞ!」
「あれ?アリスは放っておくのかい?」
「あんな奴、足手まといにしかならないだろ!オレには不要だ!」
……えっ?見捨てるつもりか!?
そんなの、アリスがかわいそうじゃん!!
「そんな、そんな酷いことを言ってはダメでござる!」
ぼくが口に出そうとしていたことを、代わりにサスケ氏が言ってくれた。
でも、
「もう良いよ、そんな奴!何度も失敗するような奴は要らないから!じゃーな!」
そう言い捨てて、七夜は逃亡用アイテムを使って消えてしまったのだった……。
第八話 おわり。