8-2
……ぼくはプレイヤーになった経緯をサスケ氏に全て話した。
感情が先走って上手く伝わらなかったところもあるかもしれないが、サスケ氏はぼくが説明している間、黙って聞いていてくれた……。
「……つまり、成世氏はファンクロ……ではなく、リアルファンクロのプレイヤーになって、ゲームに巻き込まれていると?」
「うん。多分これ、必須クエストだと思う。ぼくと一緒にいたことでサスケ氏も巻き込まれちゃった。ごめんね」
「そんな!成世氏のせいではないでござる!……しかし、運悪く成世氏は今スマホを所持していないと」
「うう……ごめん。式部がいたら何とかしてくれたんだろうけど……」
「……いますよ?」
はあ。
ほんとぼくの危機感の無さを恨…………え?
「えっ?」
「いますよ、先輩」
「ふ、ふええっ!?な、なんでぇ!?」
「私はいつも先輩と一緒に居ますので」
こ、答えになってない!
いや、ほんと助かったけど!死ぬほど助かったけど!
「私が先輩を一人にする訳ありません。ただ……慌てて追い掛けて来ましたので、すまほを置いてきてしまいましたが」
こ、この際それはどうでもいい!
スマホが無いと式部にアイテムを使ってあげられないし、細かい指示は出来ないけど。
そもそも式部は指示が無くても勝手に自分で動いてくれるから問題ない。アイテムだって今まで殆ど使って来なかったし。
完全に気配を消して現れたのはちょっと、いやすごく怖かったけど!
でももう今は式部の存在が救世主みたいなもんだ。
「わーん、ありがと式部ー!」
「怖い思いをさせてしまって申し訳ありません。さすけ様がいらっしゃったので隠れておりましたが……先輩が事情を説明なさったのでもう現れても大丈夫かと思いまして」
そっか。バレないように隠れててくれたんだ。
とにかく!これで何とかなりそう……!
「……しかし、香氏が本当に式部氏だとは思わなかったでござるよ」
「隠しててごめんね。その、なんていうか……」
「大丈夫でござるよ。今全て話してくれたのでござろう?巻き込まれたことも、拙者は気にしていないのでござる」
ここ最近何度も思ったことなのだが、サスケ氏は神か何かなのだろうか。
「しかし、くえすとで一般人を巻き込むなど、運営も腐ってますね」
「うん。これからもこういうことがあるってことなのかな……」
だったらサスケ氏との付き合い方も考えなきゃいけない────
「これ、緊急クエストみたいだよ。おねーさん」