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リアル推しガチャ【第一部】  作者: 有氏ゆず
第六話 之ぞ解釈一致である
32/62

6-3




「あのさあ、式部。……じゃなかった、香。ずっと気になってることがあるんだけど」


あの後、ぼくたちは学校に戻って来て。

時間は過ぎて、今は放課後である。


「何でしょう、成世様」

「それ!」

「……?どれ、でしょう?」

「その成世様っての!止めよう!?」

「でも成世様、」

「ここ学校だよ!?というか学校じゃなくてもダメ!絶対浮くもん!」

「…………」




式部は少し考えた後、言った。


「それは、命令ですか?」

「命令!」


ぼくは間髪入れずに答える。


「命令であれば、貴方に従いましょう。しかし、そうなると私は成世様をどう呼べば…?この時代で自分の上に立つ者は何と呼ぶのでしょう?」

「うーん……先輩、とか?」

「先輩、ですか?」

「うん」


正直同じクラスに居て先輩もおかしい気もするが、他に良い言葉が思いつかなかった。

苗字呼びなんかさせたら拗ねそうだし、式部。


あ、でもクラスではもう成世様って呼んじゃってるんだっけ。急に呼び方変えて変に勘繰られないかな。

そもそもぼくクラスで空気だし、誰も気にしないか…。




「よし、これから先輩って呼ぶこと!」

「承知致しました、先輩。……ですが、」

「……ん?なあに?」

「……もう、お名前で呼ぶことは、許して貰えませんか」

「……う、」




……何だろう。前からずっと覚えていた違和感。


式部って、こんなにプレイヤーに執着するようなキャラクターだっけ。


ううん。むしろ逆で。

命令には忠実だけど、プレイヤー個人には全く興味を示さないようなキャラクターだった。


親愛度が上がろうがそのスタンスは変わらなくて。

どうでもいいんだよね。プレイヤーのことも、自分のことも。

まあ、そういうドライなところが好きで、結婚したいとも本気で思ってたんだけど。






だから、こんなに自分に執着しているのは、何か────











「成世氏!」

「!?!?さ、サスケ氏!?」


いつの間にか目の前に立っていたサスケ氏に呼びかけられ、ぼくは思考を停止した。


「聞いたでござるよ!転校生の話!」

「あ、うん。来たよ、転校生」

「ん?もしやそちらにいるのが転校生では?」

「はい。藤原香と申します。どうぞ宜しくお願い致します」

「ああこれはご丁寧にどうも。拙者は……」




その瞬間。サスケ氏が、フリーズした。




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