5-3
前回までのあらすじ
銀行強盗に遭ったと思ったら、ぼくが人質になってた。
……とかふざけてる場合じゃないし!!
「えっ、えっ……」
「喋るな!撃つぞ!!」
「ご、ごめ……」
人質になったと自覚した途端、足がガクガク震えてきた。
怖い。泣くかも。
というかもう泣いてる。むり。しぬ。やむ。
「くっ!彼女を離して拙者を人質にするでござる!」
「口を出すな!!こいつが撃たれても良いのか!!」
硬いものがガシガシと頭に押し付けられる。
ぜ、絶対これ拳銃だよね……!?
とりあえず言われた通り何も喋らないでいたら、銀行強盗が銀行員に金を出せと指示していた。
もうなんか他人事だと思いたい……!
他人事どころか自分の命がかかってるんだけど、ここまで非現実的だと現実逃避がしたいぞ……!!
「……ちっ、一人じゃ無理だな……式部!」
「……お呼びですか、ご主人様」
えっ?式部?
な、何でぼくの目の前に式部が!?
だって式部は今家の押し入れに……!
混乱したが、少し考えて理解した。
そっか、別個体だ。
ファンクロでキャラ被りがあったように、リアルファンクロでも同じことがあってもおかしくないはず。
「そいつを捕まえてろ!」
「承知致しました」
なんか色々考えているうちにぼくは式部に取り押さえられた。
痛い。乱暴だ。うちの式部はこんなことしない!
でもなんかちょっといい匂いする!
うう、式部推しとして反応してしまうぼくが憎い……!!
「なっ、なっ……!」
「拙者、そのしきなるは解釈違いでござるーーーーーーーーっ!!!!!!」