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「……な、何かどっと疲れたんだが……!?」
説明文にしてはめちゃくちゃ高いテンションで来るんだもん……。
読んでるだけで疲れる……。
「成世様」
「……なあに、式部……」
「このげーむのるーるが、利用規約に載っておりますが……」
「あとで読む……」
ずっとこのテンションで来られたら流石にしんどすぎる。
利用規約はあとで読むことにしよう。
「織華、話終わったか?式部とヤり合っても良い?」
「はっ倒しますわよ。わたくしは芋煮様とお話がしたかっただけですわ」
はっ。
そういえばこの人もプレイヤーで。
なら何でぼくにこんなに親切にしてくれるんだ……?
「ふふ。心配なさらないで。わたくしに敵意はございませんわ」
ぼくはよっぽど不安そうな顔を見せたらしい。
彼女はにっこりと笑って答えてくれた。
「でも。ぼくに優しくするメリットなんて……」
「ありますのよ。このゲーム、一見個人戦に見えますけれど……誰かと組んだ方が有利に事を進められる筈ですわ」
「でもでも。ぼくは始めたばっかだし戦力にはなれないんじゃ……」
「始めたばかりの芋煮様の方がお話が出来るかと思いましたの」
「でも、ぼく役に立てるかわかんな」
「あーーーーーーーッ!!!!」
突然、少納言が立ち上がり、叫んだ。
「何なんですの!?お静かになさいませ!」
「お前らグダグダ話しすぎ!織華も本当の理由言えば良いだろ?」
「何をおっしゃるの?わたくしは本当のことしか話していませんわ!」
「素直になりなよ。あのなァ、織華は成世ちゃんにキマシタワー的な」
「……!!お黙りあそばせ!!」
織華がスマホを開き、何かを操作すると……なんと少納言が消えてしまった!
「え!?な、何!?消えたの!?」
「だ、大丈夫ですわ。パーティメンバーを変更しただけですの。リアルファンクロのアプリから操作出来ますわ」
「えっと、つまりパーティメンバーから外せば現実世界から一時的に消えるってこと?」
「そうですわ。ただパーティに入れていないキャラクターには経験値が入りませんから……あまり外すのはオススメ出来ませんわね」
「へえ……」
成程。
つまり少納言は消えたというか、今はアプリの中に入っちゃったって感じなのかな?
原理は分かんないけど。
というか、リアルファンクロを始めてからどんどん突拍子のないことを受け入れている気がする……毒されてる?
「あっ!そういえばさっき少納言が言いかけた……」
「それではわたくしはこれで!またお会いしましょう!ごめんあそばせ!」
織華は会計をして、そのまま逃げるように店を出ていってしまった。
ぼく達の分まで払ってくれたっぽいけど、何か誤魔化された気がする。
というか……
「またお会いしましょうって、連絡先知らないし」
「これは私の勘になりますが……近いうちにまたお会いすることになると思いますよ」
敵か味方か。
最後にちょっと怪しいところがあったし、完全には信用しない方が良いのかも。
それに……
「キマシタワーって、何……?」
「私も存じ上げない言葉ですね」
「ふうん……」
とりあえずぼくの頭に何故か強烈に残った単語を、帰って調べてみようと思うのであった。
第四話 終わり。