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「はっ!」
最初に目に映ったのは、見慣れた天井だった。
そして手に硬い物を感じ、そちらに目を移すと見慣れたぼくのスマホ。
「スマホ握ったまま寝ちゃったのか……」
とても変な夢を見た気がする。
確か、リアルファンクロにご招待とか何とか。
……あんまり覚えてないけど。
でも、夢は夢……。
「……嘘でしょ」
スマホの電源を入れてみると、見慣れないアプリが追加されていた。
アイコンはファンクロに似ているけど、違う。
「リアルファンクロ……?」
あれはただの夢じゃなかったのだろうか。
確か、夢に出てきた人は……そうだ。無料ガチャを回せって言ってた。
特別にURキャラを出してやるとかなんとか。
正直信じられないけど……ファンクロのデータが復旧されない以上、このアプリを始めてみるのもアリかなとも思った。
夢で言ってた通り、本当にURキャラを出してくれるなら……まあそこまで信用してる訳じゃないけどね。
あれはただの夢だし。
アプリが入ってるのも、きっと知らない間にぼくが自分でダウンロードしただけ……だと思うし……。
慣れた手つきでガチャ画面を開く。
……驚いた。あんまりファンクロと変わってない。
「これ、ほんとに新しいやつなの?なんかファンクロの焼き増しじゃない……?」
一抹の不安を覚えながら、ぼくは「無料でガチャを回す」をタップした。
その瞬間だった。
「えっ!?な、何これ……!?」
スマホが、スマホ自体が光ってる!?
流石にガチャの演出でスマホ自体が光るなんてこと、絶対無いよな!?
まさか、ファンクロのパチモンのアプリなんかに手を出したからウィルスかなんかに感染して、ぼくのスマホがイカレたんじゃないよな!?
「で、電源落とした方が良いの……!?」
考えているうちに光はどんどん収まっていき、だんだんと人の形をしているように見えた。
ああ、変な夢なんか信じちゃったから……!!
光は更に収まっていき、そして、目の前に居たのは。
目の前に、居た……のは、
「……ようやく、お逢い出来ましたね。成世様」
「う……そ、」
「私は式部。……あなたに使われる為だけの存在です」
それは、ぼくがゲームで何度も再生したボイス……。
でもゲームよりも、だいぶ柔らかく、優しいボイスだった。
第二話 おわり。