4日目
何も食べずに1日以上経った、伝書鳩は全て放ってしまい、連絡網が完全に途絶えた。 砲撃により温存していた物資に直撃し、深刻な物資不足に悩まされる事になった。 負傷者の数が多く、重傷者は助かる事が出来ずに息絶える者も続出している。このままでは援軍は間に合わないだろう…。
「敵兵?少佐!白旗を持ち、紙を持った兵士がこちらに来ています!」
双眼鏡で確認した所、アラン公国の使者のようであり、手紙を渡してきた。そして書かれている事は「貴官ラハ包囲サレテイル降伏セヨ」と書かれていた。
どうやら撃たれて墜ちた伝書鳩の死骸を回収され中身を読まれた可能性が大だった。この事に顔にこそ出さなかったが愕然とした気持ちと絶望を味わった。援軍は厳しい、皆は疲労困憊の中死なせるか、捕虜になって政治犯として家族も巻き込まれ死なせるの二択になってしまった。
生き残っている兵士に1人ずつ簡単に話をした結果、彼らは名誉ある戦死を選んだ。
アラン公国の使者に対しその旨を伝えると悲しそうな目をして去って行った。
「良いか?機銃は弾薬が尽きた為使えない、弾薬も1人につき15発程、捕虜の道を取らずに徹底抗戦・・・覚悟は出来たな?」
誰もが頷き、決心を固めた。
そして塹壕の中に潜み、塹壕の中に引きずり込み強制的に白兵戦に持ち込み、弾薬の消費を抑えつつ、中距離や遠距離の相手には小銃の斉射によって命中率を上げさせると言った戦法を使う事に決めた。
1時間程、塹壕の陰にへばりついていたら敵軍の管楽器と打楽器による音楽の音色が聞こえてきた。近づいて来る事に緊張し心音が大きくなる、敵に聞こえていないか位、心配になる程。
敵兵が塹壕を覗いた瞬間に銃剣で攻撃開始、誰も見えずに撤退したと思って油断していたのか奇襲は成功した。 奇襲に気が付いた敵兵はサーベルを持ちだして白兵戦に持ち込む事に成功した。そして構わずに突撃を開始した。 500年程前の文明の戦いが今でも起きている様子を過去の人々はどのように思うのか考えていた。 こちらの捨て身の攻撃で驚いたのか浮足立った所を銃によって斉射し何人も倒れて行く。乱戦に持ち込んだ為に指揮系統は若干混乱したが合言葉を使い命じていた為に戦術が読み取れない敵兵は悪戦苦闘し、半日も経たずに撤退していった。 死者82名、負傷者57名、残りの戦力209名。