3話 勇者(仮)
りんごのような真っ赤なほっぺをしたシスター林檎には驚いたが、気を取り直してジョブガチャを引いた。
「お目出度うご座いまーす。大当たりー!」
なっ、なっ、何だ、商店街のくじ引きか?
宿泊と交通費無料って言ったらぶったまげるぞ!
「おお、すげー」
「大当たりだってー」
「チビッ子、ちょっと静かにしてくれ!」
「大当たりですよ!」
「だ か ら、お仕事なに?」
「あのですね、勇者様でーす! 其れに、なんと王都の宿泊と交通費は、無料でーす」
「ほえ? 勇者って、仕事なのか?」
「はい、そうでーす」
「無料宿泊って なに? ビックリなんですけど」
「王都に行って、王様にお会いするんですよー」
「俺、家出中なんで 勇者ジョブも無料王都行きも 要らねーよ!」
うわぁーーーーー
俺は、めちゃくちゃ走った。
「はぁ、はぁ、はぁ、ここまで来れば… 」
「ダメですよー、クーポン忘れちゃ」
ギヤヤャャャーー
直ぐ背後にシスター林檎が、普通に立っていた。
何なのこの体力差… 息切れして無いし!
「はぁ、はぁ、勇者も無料クーポンも入りません」
「何言ってるんですか? もう、ステータスにも載ってますよー」
「ふえー」
俺は、慌てて『ステータス、オープン』と叫んだ。
ーーーーー
ミライ バレンタイン (男) 15歳
HP 200/500
MP 無限
ジョブ: 勇者 (仮)
スキル: 毒耐性 (1)、逃げ足 (1)
ーーーーー
なっ、なん何だ、勇者(仮)? (仮)って?
「俺の目が悪いのか? 勇者の後ろに(仮)て有るんだが?」
「はい。勿論、未だ正式な勇者様では、ないので」
「ふゅー、其れを早く言ってよ。ビックリしたわ。俺、家出中だから、目立つジョブは、勘弁なのよ」
「説明しようとしたら、走って逃下駄じゃ無いですかぁ」
「処で、王都行ったら(仮)が取れるのか?」
「ダンジョンに有る聖剣を取ったら取れますよー」
「ダンジョンって、俺はまだレベル1だよ。即死レベルだよ」
「私が、付いて行きますから、大丈夫ですよー」
うあー、嫌な予感しか無いわー。
ん? 王都にタダで行ける。其れも案内付で…
まぁ、案内は、シスター林檎だけど、な。
「もし、聖剣が取れなかったら ジョブは、何になるのでしょうか?」
「其れは、農民に決まってるじゃ無いですかー」
「ふぇー。勇者と農民じゃ 天と地との差じゃ無いですかー」
「いや〜、其れ程でも〜。『勇者は悪を狩る、農民は稲を刈る』ってね」
「同じのは[かる]だけですが?」
はぁ〜、俺は、農民以外を希望したんだよぁ。
ん? んんんん? 可笑しいぞ!
そもそも、農民ってジョブじゃないぞ!
シスター林檎! 俺を騙そうとしたな。
『そうは、問屋が許さねえ!』って事だ!
ふはははあー、勇者には、ならんぞ!
ぐはははははああああー
俺とシスター林檎は、教会に戻った。
俺は、思い出したようにスキルガチャを3回した。
「1500キープなーりー」
「ほい、ギルドカード」
「あれ、このカードまだ未登録ですね。明日の朝、ギルドに登録してから戻って来て支払って下さい。 其れ迄このスキルは、お預かりしまーす」
はぁ〜、面倒くさいけど仕方ないよなぁ。
「分かりました。じゃ、又明日来ます」
俺は、宿泊と王都行きのクーポンを貰って村の中央に有った[ドンドン亭]と言う宿屋に入った。
「いらしゃーいませませ。宿泊のみですか?」
「食事も付けて下さい」
「三食付いて1日350キープですです」
「じゃ、それでお願いします。あっ、そうだ。ギルドカードまだ登録して無くて… 」
「ギルドまだ開いてますから、先に行ってきてくださいませませ」
「じゃ、空き部屋取り置きしといて下さい」
はぁ〜。やっぱり、こうなるか。
取り敢えず、ギルド登録だなぁ。
うわぁー。人いっぱいだわ。
やっぱ、先に来れば良かったな。
腹減ったわ。
グルグルグリュー
おいおい、デカイ音だろう俺の腹の虫!
「おい、お前、腹減ってんのか?」
えっと、俺の事言ってるのか?
「キョロキョロしてるお前だよ!」
「あっ、どうも。カード登録して無くて… 」
「食え食え、此れも良いぞ!」
「有難う。 じゃ、一本だけ頂きまます」
「遠慮するなよ。じゃんじゃん食え!」
「いえ、直ぐに宿屋戻らないといけないので」
「俺は、勇者のミッキーだ。お前は?」
「ほえー。勇者様ですかー。良かったです。あっ、いえ、会えて良かったですう。俺は、ミライです。宜しく」
「おうよ!」
勇者って、何人居るんだ??
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