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第九羽 蔵書編

 3時限目は体育だ。


 タンチョウはジャージに着替えるとグラウンドへ出た。スマホは机の中に置いてある。


 連絡を取り合う事のない時間はそのまま考える時間になった。


 近藤さんはどうしてこんな依頼をしたのだろうか、とタンチョウはサッカーボールが跳ねているグラウンドに立って考えていた。


 バレー部で成績優秀な彼女の姿と蔵書処分されていく本を案じる彼女の姿は結び付かなかった。


 考え込んでも近藤さんに対する情報が少なすぎる。埒が明かないのでタンチョウはサッカーボールを追う事にした。


 彼もまたスポーツ万能型だった。

 

 4時限目は着替えが終わるとほどなくして始まった。


 数学が比較的に得意なタンチョウにとって授業はすいすいと進んだ。


 するとスマホから振動が伝わって通知が入った事を教えた。手に取って確認してみるとその通知は4人の誰からでもない。


 コジュケイからだった。



≪生徒会が警戒してる。庶務の2人が見回っているから気を付けて≫



 新しい情報だった。そしてとても重要だ。



≪どうして生徒会が警戒するんだ?≫


≪前回の依頼でバレー部室に忍び込んだんでしょ?≫


≪ああ、忍び込んだ≫


≪授業中に部室棟へ向かう生徒の姿を見たと天野先生が言い張ってるのよ。だから会長が見回りを強化してる≫


≪なるほどな。授業中は見回りはないだろう?≫


≪教員がしてる。会長が依頼したのよ≫


≪放課後はどうだ?≫


≪同じよ。庶務と教員が見回りをする≫


≪ありがとう、助かったよ≫


≪気を付けて、またね≫



 コジュケイからの忠告はタンチョウに危機感をもたらした。一筋縄ではいかないようだ。



≪どうやら生徒会が警戒しているらしい。コジュケイからの情報だ≫


≪情報が漏れたのか?≫


≪いや、前回の時に天野先生が部室棟へ向かう生徒を見たと言っているらしい。それで生徒会が警戒して見回りを庶務と教員で始めたんだ≫


≪ドジだな。見つかるなよ≫


≪済まない≫


≪計画はどうするの?≫


≪やるしかない。そのままで行こう。俺とアオゲラが図書室へ忍び込む。オオルリとヤマセミが本を確保してくれ≫


≪了解≫


≪任されよう。偽装する必要もあるな≫


≪偽装?≫


≪そうだよ。町田は蔵書の本を贈る予定を変えない。中身が空っぽだと捜索が始まるだろう≫


≪なるほどな、そっちは二人に任せる≫



 4時限目が終わった。


 昼休みになると生徒たちは思い思いの場所へと向かう。ある者は購買へ、ある者は好きな場所へ好きな仲間と。如何に過ごすかは生徒たちが決める。


 タンチョウはクラスメイト達と普段通りに輪になって昼食を済ませると急ぎ、図書室へ向かった。


 昼休みには図書室は開いている。パソコンがどこに置かれていて操作されているのかを調べるつもりだった。


 戸を開けるとすぐに目に付いたのは受付でパソコンを操作する女生徒だった。タンチョウは彼女と目が合うとそちらの方へと近づいていった。


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