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第七九羽 首輪をつけた三毛猫編

 蒼団の団席から途轍もない歓声が上がっている。


 美鶴は爽やかな笑顔を見せている。権田と騎馬の男たちは団席の前を走った。他の戦士たちもその後に続いていく。


 滑稽なほど遅かったが歓喜に夢中の団員たちはそんな事にはお構いなしだった。



「やっぱりこうなるか」



 武田ははっきりと口にすると立ち上がって美鶴の方を見た。


 タンチョウも立ち上がって武田の背後に着いた。



「やるか」


「ああ、楽しみで仕方がないな?」


「そうだな」


「しっかりしてくれよ」


「分かってる。あの鉢巻を奪う自信はあるのか?」


「どうにかする。期待していろ」



 蒼団は走るのを止めて横一列に並び始めた。


 紅団が立ち上がって整列しているのを見たからだろう。

 アナウンスが響いて両団が中央へと歩み寄っていく。


 黄団との闘いの多くは権田の働きが大きい。美鶴は権田を上手く使ったと言える。他の者もよく頑張っていたが一騎当千と言える働きをしていたのである。


 その様子を見ていた紅団は委縮していたかもしれない。それなのに武田は声をかけて鼓舞しようとしなかった。



「行くぞ」


「ああ」


「ところで展開次第だが私たちと真城がぶつかる事になるだろう。お前は権田に向かって行けるか?」


「愚問だな」



 タンチョウの答えに武田は力強く頷いた。


 武田は見た目よりも軽かった。タンチョウはそんな事を考えて武田を背負っていたが口には出さなかった。


 後ろの2人は陰でそんな事を話題にしていたがタンチョウは聞いていないふりをした。


 両団の選手たちが準備を終えて対峙した。待つのは戦闘開始の合図だけ。


 タンチョウは権田と美鶴を見ていた。はっきりと2人もタンチョウと武田の方を見ているのが分かる。



 そして砲声が轟いた。



 タンチョウが前に出ようとすると武田が頭を掴んで「待て!」と命じた。


 すると他の団員たちもそれに従って一歩踏み出したきり次の足を出そうとしなかった。


 美鶴が率いる蒼団が動いていなかった。


 だが、それはそのように見えただけである。実際には少しだけ動いていた。半円を描くように横に広がって行っているのだ。


 そのまま前進して行けば瞬く間に刈り取られてしまっていただろう。


 タンチョウは蒼団の団長である美鶴が軍師と呼んでいた存在の事が頭をよぎった。



「真城美鶴、侮れん。頭脳があるか」


「そうだな。優秀な頭脳があるだろう」


「ふん、小癪な策など蹴散らしてくれると言いたいところだが………」



 武田は未だにタンチョウの頭に手をやって考えている。


 指示を待つ団員たちは今にも痺れを切らして駆けて行きそうだ。騎馬の選手たちにとっては背負ったままで立つのは疲れがたまるばかりだからだ。



「行くぞ、続けー!!!」



 武田が指示を出したのは右側面からの攻撃だった。右側に寄って切りあがっていく。


 地鳴りのような足音が響いている。


 先頭を走ってくれと頼まれたのでタンチョウは指示に従った。


 美鶴が広く開いた陣形を右側に偏らせていく。反対側の騎馬たちが囲うように紅団に迫っていた。


 いよいよタンチョウと武田の騎馬が蒼団の騎馬とぶつかった。



「迎え撃てーー!!!」



 武田はとても楽しそうに笑って言った。


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