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第七六羽 首輪をつけた三毛猫編

 キセキレイとカッコウはタンチョウの不思議そうにしている顔を見てヒヒヒヒと笑い続けた。


 彼女たちにはなにかの案がある様子だったがタンチョウにはそれが分からなかった。


 「どうする?」と尋ねたのにそれについて2人は答えていない。答えるつもりもないようだ。


 見透かされているタンチョウはそれを期待するかのように目を向けるとぷいとそっぽを向いてしまう。小憎たらしい2人だった。


 こうしてタンチョウは2人を放ってひとりで考えるのだった。なにせ初めに直感を持ったのは他ならぬ自分だったのだからそれに従うつもりでいる。


 あの場所に座っている男子生徒が依頼主だとタンチョウは仮定した。ジャージに入っている線が学年を教えてくれる。緑色の線だったのでタンチョウたちと同じ3年生だった。


 そしてその依頼はすでに達成されている。三毛猫はプレハブ小屋に入れてあるのだ。


 ひとりで考えていたタンチョウはハッとある一つの考えが浮かび不安と期待を併せ持って歩き出した。


 右耳に付けたインカムに指を当てて言った。



≪プレハブ小屋に行ってくる≫


≪りょうかーい≫


≪分かったー≫



 すぐそばにいるキセキレイとカッコウが反応した。やはりまだクスクスと笑っている。


 タンチョウは馬鹿にされたような気分のままでプレハブ小屋へ向かった。


 向かっている間にタンチョウは再び考え出した。


 つまり彼は三毛猫を一度、プレハブ小屋へ集めてから外へ放つ手伝いをしてしまったのではないかと不安になったのである。


 鳥の巣の働きが作戦の一部のように組み込まれていてまんまとその卑劣な行いの一端を担ってしまった形になったかもしれないという不安が彼をプレハブ小屋へ三毛猫の所在を確認させた。


 2匹の三毛猫はプレハブ小屋にいた。それはタンチョウは両の目でしっかりと確認した。


 鍵はしっかりとかけられている。ヤマセミがそのカギを持っているはずだ。


 タンチョウは不安が的中しなかった事を喜んだ。すると次には期待が膨らんでくる。


 あそこで座り込んでいる男子生徒に接触する者がいるはずだ。計画の首尾を確認するために。


 タンチョウは急いで戻った。

 キセキレイとカッコウがさっきと同じ場所で待機していた。



「おい」


「なあに?」


「うん?」



 2人とも楽しそうだった。



「三毛猫はいた?」


「いたよ。2匹ともな」


「そっか。タンチョウの考えた事は分かるよ。実行したからこその不安だよねえ」


「うんうん」


「分かってたのか?」


「うん、まあねー。あの人、ほとんど同じ場所に座ってるんでしょ?」


「ああ、ほとんど変わらない」


「よーっし、彼は見張りだよ。三毛猫は2匹いる。そのうちのどっちが何回通ってるのかを確認してるんだよ、きっとね」


「それで、昼前から猫は通らなくなった。だって、タンチョウたちが捕まえてプレハブ小屋に入れてるんだからねえ。依頼主が自分であるのなら依頼が達成されたと考えるのが普通だよ。

 つまり、彼は猫があそこを通らなくなった時点で依頼達成の確認をする必要がないってわけ。で、これからが問題だよ。タンチョウも期待してるでしょ? 協力者が接触して来るのを」


「ああ」



 3人は同じ場所から座り込んでいる男子生徒を見ていた。


 いくらか時間が経ったがその男子生徒に接触する人はいなかった。


 演武を終えた団員たちが校舎の中へ入っていく。ぞろぞろと出入り口に集まっている。1年生や2年生は先に上級生へ譲ったりしているので3年生がまず入っていった。


 やがて人が流れていくと座り込んでいた男子生徒が居なくなっていた。


 人混みに紛れて去ったのだろう。タンチョウたちの場所からは離れて行く男子生徒を見る事が出来なかった。



「居なくなっている」


「うん。そうだねえ」


「困ったねー」


「グラウンドの方を見てくる。2人は更衣室のライチョウに接触してくれ。十分に気を付けるように注意するんだ」


「りょうかーい」


「まあ、これはキセキレイがやればいいね。あたしはちょっと他にする事があるから」


「する事だって?」


「うん。任せといて」



 タンチョウは頷くとグラウンドへ向かった。男子生徒の姿を探すつもりだ。顔は覚えている。どこかで

見た覚えがあるのはきっと普段から見ているからだろう。


 グラウンドを見て回っているタンチョウだが探し人は簡単には見つからなかった。



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