第七〇羽 首輪をつけた三毛猫編
絡まった網から暴れる三毛猫を取り出すのも一苦労したがタンチョウはヤマセミと協力して、遂に猫を手中に収める事が出来た。
≪捕まえた。三毛猫を確保したぞ≫
≪良かった≫
≪間違いないのね?≫
≪ああ、首輪も同じ色だ。模様も同じように見える≫
≪とりあえず指定の場所に猫を入れに行こう≫
≪そうするよ≫
≪競技の方はどうなってる?≫
≪もうすぐ2年生の組体操が終わる頃よ。急いでね≫
≪分かった≫
タンチョウはヤマセミと第3校舎裏にあるプレハブ小屋に向かった。
「ヤマセミ、ちょっと服を直したい。猫をその間に持っていてくれるか?」
「嫌だ」
「おい、持っていてくれよ。短パンがずれてるんだ。直したい」
「だから嫌だ」
「少しくらいいいじゃないか」
「馬鹿野郎、俺は猫が嫌いなんだよ」
「そうなのか?」
「そうだ」
「暴れてないぞ。もう大人しい」
「そういう問題じゃない。とにかく猫を持つなんてごめんだね」
「まったくしょうがないな。我慢するしかないか」
「短パンなら俺が持ち上げてやるよ」
「けっこうだ。それぐらいは自分で直す」
「けっ、好きにしろ」
「でも、首輪だけでも確認してみてくれ。小型カメラなんてあるか?」
「分からん。ぱっと見ただけでは普通の首輪に見える。なんにせよ今はプレハブに入れて体育祭が終わってから確認できればいいだろう」
「そうだな」
話し終える頃に2人はプレハブ小屋に着いた。
三毛猫を入れるために扉を開けると猫もそこに慣れているのか抵抗する事なくトンと床の上に降り立つと尻尾を高く上げて振り返った。
タンチョウは三毛猫と目が合うと手を振って別れを告げた。
猫に罪はないとタンチョウは考えて扉を閉めた。いくらか閉じ込めておくのが心苦しい様子で。
あとは体育祭を楽しむだけだと彼は考えた。
戻った頃には2年生の組体操は終わっていた。
1年前に自分がやっていた競技を外から見る側になって見てみたい気持ちが少しだけあっただけに目にする事なく終わった事に残念な気持ちになった。
次は台風の目という競技が始まる。タンチョウは準備を始めた。
棒を持ってカラーコーンを回っている途中にインカムからミソサザイの声が響いた。
≪三毛猫だ! 第1校舎の前にいる。歩いてるぞ!≫
≪なんだって?≫
≪三毛猫だよ!≫
≪本当か? タンチョウと俺が捕まえたんだぞ?≫
≪本当だ。いるよ!≫
≪2匹いたって事なのか≫
≪そうかもねー≫
≪用意周到だねえ。1匹目の首輪は確認したの?≫
≪した。だが、小型カメラのような物は無いように見えた≫
≪2匹目の猫はどうなの?≫
≪分からない。首輪の色は赤色だよ。模様も似てる≫
≪そう、2匹いたって事なのね≫
≪タンチョウたちはどうやって捕まえたの?≫
≪ネットを使って捕まえた。投網のようにな≫
≪それは出来ない。準備してないから≫
≪今どこ?≫
≪今は第1校舎の前にいる。ゆっくりと歩いてるよ。僕は平日でも休み時間には校舎の周りを歩くけどこんなに三毛猫を見た事がない!≫
≪キセキレイ、動ける人員に指示を出して≫
≪え、わたし?≫
≪そうよ、だって今、競技には私とタンチョウとオオルリ、アオゲラが参加してるもの。動けないわ≫
≪あーん。カッコウ、手伝ってー!≫
≪いいよ、どうしようかねえ≫
≪待ち伏せが一番かな?≫
≪そうだね、待ち伏せしよう≫
≪ミソサザイ、わたしたちが張るから進行方向を教えて≫
≪ダメだ、見失った!≫
≪あちゃー≫
≪困ったねえ≫
タンチョウはインカムから入る情報を聞いて焦ったのか歩調を合わせるべきところを合わせられず少しだけ早くなってしまっていた。
台風の目は紅団の結果は振るわなかった。




