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第六九羽 首輪をつけた三毛猫編

 3年生のリレーは紅団が勝った。


 それでも得点は3団とも拮抗している。


 タンチョウは再び三毛猫を探しに校舎を回りだした。


 ミソサザイからの連絡は入っていない。



≪ねえ、ちょっと考察したんだけどマズいかもしれないよ≫


≪なんだ?≫


≪どうしたの?≫


≪3団の応援団の着替えって更衣室でするんだよね?≫


≪ええ、女子生徒はそうよ。男子は教室でするの≫


≪それだよ。更衣室って第1校舎でしょ?≫


≪そうよ、まさか?≫


≪うん、覗きと盗撮目的なんじゃないかって考えたわけ。ゼッタイっていう確信はないんだけどね≫


≪止めなくちゃいけない≫


≪そうだよー。応援団の演武は昼休み明けのすぐだから準備は昼休み中にされると思うし、何より猫好きな女の子の多い警戒心を解かせる心理をついた卑劣さは許せない!≫


≪人員を追加しよう≫


≪そうだね≫


≪ヤマセミたちに声をかける≫


≪インカムはないよー≫


≪同じ団の人が情報を共有させよう≫



 ヤマセミたちは呼びかけに応じた。

 ほとんど全メンバーが集結していた。


 捜索の間にもそれぞれの出番には臨機応変に立ち回った。競技に参加し、時間がある時に三毛猫を探した。


 ようやく鳥の巣のメンバーの中で三毛猫を頻繁に確認できるようになった。


 だが、素早い猫を捕まえるのは至難の業だった。


 タンチョウは遂に体育館倉庫から道具を調達してきて罠を仕掛けるなどの工夫を凝らした。


 それでも猫は捕まらない。


 時間が流れていく。


 体育祭競技と猫の確保の両立に加えて時間にまで追われたタンチョウは疲労感が隠せなくなってきた。


 ミソサザイは猫を見つける才能があるらしく頻繁に見つけた報告をするが確保にはまだ至っていない。



≪見つけた。今度も西出入り口の前にいる!≫


≪了解。すぐに行く≫



 ミソサザイからの報告を受けたタンチョウは西出入り口とグラウンドを繋ぐ通路の影に使えそうな道具を隠している。


 それを回収して走りながら準備をした。ネットを束ねて肩にかけて走っていく彼はもはや人の目など気にしてなどいない。


 西出入り口に着いた。


 オオルリが追っているのが見える。


 タンチョウはその後に続いた。


 道具を背負っていてもタンチョウはオオルリよりも足が速かった。



「オオルリ、他の奴はどうしてる?」


「や、ヤマセミが挟み撃ちを計画してる。この先にいるはずだ」


「分かった」



 オオルリがこの先と指をさしたのは自転車通学をする生徒が利用する自転車置き場だった。



「先に行くぞ」



 タンチョウはオオルリを置いて行った。



「任せたぞ」



 倒れこむ音がタンチョウの背後から聞こえて来た。


 自転車置き場に着くとヤマセミの姿が見えた。


 三毛猫は散歩するようにゆっくりと歩いている。


 タンチョウはインカムを付けていないヤマセミにジェスチャーで合図を送る。



〈行くぞ!〉


〈分かった。俺から行く!〉



 ヤマセミはそっと近づいて行く。それを見守るタンチョウは気付かれまいと息を殺している。


 静かな自転車置き場には2人しかいなかった。


 三毛猫は2人に気が付いた様子もなくゆっくりと校舎裏に回ろうと歩を進めている。


 背後からタンチョウが、側面からヤマセミが迫っている。


 ヤマセミが着ていたジャージの上着を脱いだ。それで覆いながら捕らえようとするつもりだ。


 自転車の脇を通り過ぎた猫を見るとヤマセミはタンチョウと目を合わせてこっくりと頷いた。


 ワッとジャージを広げて捕まえようと迫ったヤマセミに三毛猫はいち早く気が付いた。野生の本能である。


 ひょいとヤマセミのジャージを躱したが追撃を躱す余裕まではなかった。


 タンチョウが躱した猫にネットを投げたのだ。三毛猫はふぎゃっと叫び声を上げると逃れようと暴れるのでますますネットの網目に手足が絡まっていった。


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