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第六六羽 首輪をつけた三毛猫編

 タンチョウは1年生たちがグラウンド内を駆けるのを見ながら校舎の方へと歩き出した。



≪ライチョウ、すごい宣誓だったな≫


≪ありがとう、咄嗟だったけど上手く出来たみたいで良かったわ≫


≪えー、あれがアドリブなの?≫


≪そうよ、打ち合わせでは淡々と済ませてたから≫


≪困ったもんだね、前島にも≫


≪ライバル意識が強いからな、武田に対する≫


≪タンチョウは校舎の方へ行ってるの?≫


≪ああ、三毛猫を探している≫


≪お疲れさま、私はまだ行けそうにないから任せるわ≫


≪そうしてくれ、団長がいないのでは士気が乱れるだろう≫


≪じゃあ、蒼団の名勇士を貸し出すわ、しっかりと返してね≫


≪誰の事かなー?≫


≪キセキレイ、あなたよ。私の分まで働いてね≫


≪勇士なのか?≫


≪笑ってるだろ? 笑ってんだろー?≫


≪笑ってない、少しもな≫


≪ウソをつけー。分かるんだぞ≫


≪三毛猫の情報が少しだけ入ってるよ。運営の方に報告が来てる≫


≪どんな?≫


≪校舎の方にいたみたい。たぶん写真の猫と一致する。首輪がしてあったと報告されているから≫


≪ありがとう、コジュケイ。そのまま運営からの情報を流してくれ≫


≪分かった。今はリレーで黄団が優勢よ≫


≪分かった。俺の分も紅団を応援してくれ≫


≪あら、そこからでも応援は出来ると思うけれど?≫


≪しているよ。心の中でな≫


≪合流するー。タンチョウの背中が見えてきた≫


≪第3校舎の方まで行こうと思う。まずはそこからだ≫


≪りょうかーい≫


≪オオルリ、ミソサザイは何をしているんだ?≫


≪ああ、済まない。外周の辺りを見回ってるよ≫


≪僕は校舎の中を見回ってる。扉はほとんど開放されているから猫でも入れるだろうからね≫


≪分かった。そのまま続けてくれ≫



 タンチョウはキセキレイと合流した。



「よお、名勇士」


「うるさい、だまれ、口を開くな」


「第3校舎を見て回ろう」


「うん」


「ここまでは放送委員会の実況が聞こえて来ないんだな」


「そうだねー。まあ、学校中に流してたら近隣から騒音の苦情が来るんじゃないの?」


「そうなのか」


「知らないけどね。まあ、ありそうな事だよ」


「まあ、常日頃から定期的に鐘が鳴るのを聞いていれば嫌にもなるか」



 キセキレイはタンチョウの感想に反応する事なくきょろきょろと辺りを見回していた。



「どうして名勇士なんて呼ばれるようになったんだ? 教えてくれよ」


「知らない」


「そうか、まあ、ライチョウならな、そう呼ぶようになるかもしれない」


「もー、ニヤニヤするな!」


「いや、すまんすまん。ついな。いいじゃないか」


「将棋を2人でやったんだよ。タンチョウは知らないかもしれないけどわたしとライチョウの席って近いんだよね。もう悲劇的な事にわたしの前の席なんだよ!」


「それで?」


「うん、全戦全勝なんだよね。もうなんだかわたしが強いのじゃなくてライチョウが弱いと思っちゃうぐらいにね」


「何回戦ったんだよ?」


「10回以上は戦ってるねー」


「そうなのか、今度は俺もやってみようかな」


「それで軍師だと言い始めたんだけどそれはさすがに恥ずかしいから止めてって言ったの。そこから名勇士に変化した」



 話す間にも2人は第3校舎をぐるりと回って三毛猫を探していた。姿は見えない。昨日、確認した場所で寝ている猫は少なかった。



「でも、どうしてこんな時に三毛猫なんだろう? タンチョウはそんな事を考えてみる?」


「少しだけな。でも、考えた所で仕方がない事だ。依頼者を突き止めるわけにもいかないだろうし、手間がかかる」


「そだね。でも、ゼッタイに体育祭に関係する事だと思うんだ。だって、今日の昼までになんて条件を出すんだからね」


「そうだな」



 2人が歩いているとインカムから通信が入った。校舎を見て回っていると言うミソサザイからだった。



≪第1校舎の方に茶色い猫がいる。模様から三毛猫に見えるけれど遠くて確認できない。近くに人がいれば行ってほしい≫


≪了解≫



 タンチョウは急いで第1校舎の方へと向かった。


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