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第六三羽 首輪をつけた三毛猫編

 依頼を受けた当日のたった1時間にも満たない時間でタンチョウはこの学校の猫が集まりやすい場所を探し当てた。


 第3校舎の付近に猫が集まっている。そこには2,3匹の猫がいたがどれも写真の三毛猫には見えなかった。


 第3校舎には家庭科室や茶華道室がある。


 タンチョウは校舎の壁に寄り添う形で寝ている猫たちを見てその部屋の利用者たちがこっそりと食べ物を与えているかもしれないと考えた。



「やっほ」



 後ろからの声に振り返るとそこにはキセキレイがいた。



「おう。猫が集まっている場所を見つけた」


「知ってる。昔からここで昼寝してるじゃん」


「そうだったのか。知らなかった」


「タンチョウは知らない事が多いねー。ダメダメだぞー」


「そうだな」


「三毛猫はいないみたいだね」


「ああ、見当たらない。ここで見つかれば明日は体育祭に専念できるんだがな」


「まあ、仕方がないよね。たぶん時間帯で行動するんじゃない?」


「時間帯か?」


「そう、きっと午前中がこの学校の敷地を散歩する時間なんだよ。午後になると他所に行っちゃう」


「なるほどな」


「報告できるのはここの情報とあとひとつくらいだね」


「そうか、あとひとつはどんな事だ?」


「それは報告を読んでよ。あとで送っておくからさ」


「分かった」



 キセキレイが「帰ろーっと」と言って教室に戻って行こうとするのでタンチョウもその隣を歩いた。



「珍しいじゃないか。こんなにやる気になってるなんて」


「そう? いつもやる気だけは満々だけど」


「そうなのか、そうは見えなかった」


「失礼だなー」


「ごめんごめん」


「まあ、今は体育祭ムードで教室が賑わってるからね。あんまり教室に居たくないなーって感じなの。苦手なんだよねー、ああいった雰囲気が」


「そうか、でも協力を頼まれるんだろう?」



 タンチョウが尋ねるとキセキレイは渋い顔をして大きくため息をついた。



「まあ、協力はするよ。でも、力にはなれない気がするなー。ほら、わたしって運動が得意なタイプじゃないでしょ。足だって遅い、背だって普通、力もない」


「でも、頼られる何かがある」


「真顔でそんな事を言うな。聞いてるこっちが恥ずかしいでしょー。でも、どうしてうちの実行組はこうも口が上手いのかね」


「さあな」



 キセキレイと別れるとそのすぐ後に昼休みの終わりを告げる鐘が鳴り響いた。



≪第3校舎の裏の方に猫が集まってる。タンチョウも確認したよね?≫


≪ああ、集まっていた≫


≪たぶんあそこが学校の敷地内を散歩する中心点になるんだと思う≫


≪念のために聞いておきたいのだけどこの中で学校の敷地内に三毛猫がいたのを見た事がある人はいるの?≫


≪俺はない≫


≪俺もだ≫


≪わたしもなーい≫


≪あたしも!≫


≪僕もないよ。猫はあるけれど三毛猫はない≫


≪誰もないのね≫


≪それで探すのは明日になりそうだ。競技の合間に出来る者でやっていこう≫


≪うん、上手く連携とれるように道具がいると思うんだー。一応、オシドリに頼んで使えそうな物を頼んでおいたから明日の朝に渡せるようにするよ≫


≪そうか、ありがとう≫


≪この間はタンチョウが行ったんでしょー?≫


≪おう、行って来た。少し話もしたぞ≫


≪うん、そう言ってた。タンチョウは相変わらずだって言ってたよ≫


≪奴も変わってない≫



 体育祭の前日は無情にも過ぎていった。


 オオルリやミソサザイ、タンチョウが最後まで三毛猫を探していたが結局、尻尾さえも見つけられなかった。


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