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第六二羽 首輪をつけた三毛猫編

 タンチョウは集合時間よりも30分ほど早く学校に着いた。


 今日はこれ以上ないほどの晴天で体育祭日和と言える。運動にそれほど不自由しないタンチョウは余裕の表情で学校の敷地内を歩いている。


 その横ではライチョウが長い髪を後ろに束ねて歩いていた。


 2人は探し物をしている様子できょろきょろと辺りを満遍なく窺っている。


 いくらか緊張しているように見えるのは仕事のために気を張っているからだけではない。


 頭を動かすたびに揺れる彼女の束ねた髪が馬の尾のように跳ねる。朝日に綺麗な彼女の髪が照らされるのを見るとタンチョウは少しだけ貴重な光景を見る事が出来たと密かに喜んでいた。



「晴天ね」


「ああ、体育祭日和だ。3年間この学校に居て初めての事だな」


「ええ、とっても楽しみ」


「いいのか? 別に朝は俺だけで良かったんだぞ?」


「いいのよ、これで仕事が達成されるならそれに越したことはないから」


「そうか。蒼団はどうなんだ?」


「あなたの宿敵である権田くんがいるから騎馬戦は覚悟しておいた方がいいわね」


「気を付けよう」


「だけど、権田くんって本当に喋らないのよ。困ったわ、どうやって委員長をやってるのかしら?」


「そうだな、俺も考えてみた事がある。たぶん安土を中心に仕事をしているんだろうな。藤堂が居れば通訳にもなるが」


「藤堂くんは他の団だもの。無理ね」


「心配はしてるだろうがな」


「キセキレイはどうなんだ?」


「そこは平気よ。使いどころを考えてるの。きっと協力してくれるわ」


「恐ろしいな。だけど、楽しみだ」


「覚悟しておいて、本当に。痛い目を見る事になるわ、きっとね」


「分かった」



 2人がこうして早朝の学校の敷地内を歩いているのには訳がある。


 依頼があったのだ。


 その依頼は体育祭の前日の昼休みに投稿された。



≪依頼だ。こんな時に≫


≪困ったわね。明日までに終えられるかしら?≫


≪いや、難しいだろうな。期限も書かれている。明日の昼休みまでにだ≫


≪困った依頼だこと≫


≪文面をちょうだーい≫



 キセキレイに促されてタンチョウは投稿された手紙の内容を写真に撮るとそれをアップロードした。



[明日の昼休みまでに学校の敷地内にいる三毛猫を回収してください。

 第3棟の裏にあるプレハブ小屋の中に入れてもらえれば大丈夫です。本当に必要な事なんです。

 よろしくお願いします。三毛猫の写真を同封しておきますので様子を確認してください。匿名希望]



 タンチョウは同封されていた三毛猫の写真をズームアップさせて撮影するとそれも同じようにアップロードさせた。



≪普通の三毛猫だね≫


≪そう見えるね。どうして回収しなくちゃいけないんだろう?≫


≪さあね、勘ぐっても仕方がないだろう≫


≪うん、匿名希望という事は一線を引いてるからねー。関わる気はないんだと思うよ≫


≪右目の周りが黒いのね。両前足は白い。背中は茶色だけど斑だわ≫


≪ああ、首輪は赤い。鈴は付いていないように見えるな≫


≪首輪があるって事は飼い猫だろうね。近所のお家かな?≫


≪そうだろうな。飼い主の依頼かもしれないな。この近所に住んでいる生徒だっているだろう≫


≪情報を集めよう。また各自で報告をしてくれ≫


≪了解≫


≪りょうかーい!≫


≪頑張りましょう≫



 タンチョウは早速、教室を出た。


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