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第六〇羽 校門の植木鉢編

 タンチョウは借りていたワイヤー式小型リフトをオシドリに返した。



「役に立ったよ。ありがとう」


「そうか、良かった。何を運んだのかな?」


「植木鉢を運んだ、ひとつだけな」


「そうかい、50キロまでは耐える構造だからもっと大丈夫なんだけどね。どれくらいの高さを運んだのかな?」


「地上から屋上までだ」


「なるほどね、ありがとう。なに、データが必要だからね。次にはもっと耐久力のあるリフトを作るよ。待っていてくれ」


「楽しみにしておこう」



 そしてそれぞれの夜を過ごした。


 屋上には1つの植木鉢がある。咲いている花だけが犯行を見ていた。


 翌日、タンチョウはいつも通りに登校した。教室に入ると岩畑の姿が見えなかった。


 どうやら休んだらしい。タンチョウは気の毒な事をしたと少しだけ反省したがすぐに彼の事を考えなくなった。


 昼休みになったが新しい情報は入って来なかった。


 タンチョウは特に強いて知らなければならない事もないのにメッセージを送った。



≪その後はどうなったんだろう≫


≪ああ、花町はやっぱりゲーム機を隠していたようだ。回収したようだがその後に先生に見つかって結局没収されたみたいだ。また1週間ほど練習に参加できないだろう。野球部なら外周を走る花町を見るかもしれないな≫


≪そうか、まあ、その後の事までは面倒は見られないからな。自業自得とも言える≫


≪ああ、自業自得としか言えないな。ところでタンチョウ、岩畑が学校を休んでるそうじゃないか?≫


≪うん、休んでる。体調不良らしい≫


≪昨日の校門前のやり取りが聞こえていた。気まずい思いをするかもしれないと思ったが大丈夫みたいだな≫


≪問題ない≫


≪2度も撒いたと酷く怒っていたじゃないか。トイレに入った時はどうやってやり過ごしたんだ?≫


≪なに、大した事じゃない。奴がトイレに入って来るかは賭けだったがトイレの出入り口の扉の傍に自動消灯するまで潜んでいたんだ。パッと明るくなって猛烈な勢いで入って来た岩畑と同時に外に出ただけだよ。隠れていると決め込んだ奴の敗因だな≫


≪そんなものか≫


≪上手く行った例だよ。それじゃあ、またな≫



 タンチョウはヤマセミとのやり取りを終えるとふらりと屋上へ向かった。


 これと言って用事はない。ただ風に当たりたくなったのだろう。そんな悠長な足取りだった。


 先客はいなかった。いつもの場所に腕を置いて空を見上げると青空を見る事が出来た。


 風がふわりと吹いてタンチョウの頬を撫でていく。ふと、目を向けた先には植木鉢があって花が揺れていた。


 校門の植木鉢がひとつ欠けている事にいつか誰かが気付くだろう。大きな事件になる前に戻しておく必要がある。


 タンチョウは屋上でひとりため息をついた。



「またリフトを借りて来なくちゃいけないのか」


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