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第三七羽 ペットボトルロケット編

 慌てている隊員たちの声が聞こえてくる。


 どちらかの壁際に寄ったような気配を感じたタンチョウはすぐに行動に移した。


 ゆっくりと親衛隊たちの集まる場所に近づいて行った。隊員たちは部室側の壁に寄っている。


 2人がタンチョウに背を向けて壁役になっているのが幸いだった。


 音を殺して窓際の壁沿いを進むタンチョウは制服の袖からボタンを3つとも毟り取ると1つをやって来た方向に投げた。


 こつんと音が大きくした後に何かが廊下を滑る音が聞こえた。



「なに?」


「ちょっと、やだ」


「なんで消えるの?」


「ねえ、おかしいよ。戻ろう」


「うん、戻ろうよ」


「でも、ここの受け持ちじゃん」


「そうだよ、灯りを点ければいいだけじゃん」


「誰が点けに行くの?」


「そりゃあ、誰かが行かなきゃ」


「私、ゼッタイいや!」


「私も」


「私だって嫌よ」


「言い出しっぺが行きなよ」


 隊員たちはああでもないこうでもないというやり取りをタンチョウの目の前で繰り広げた。


 事態は収拾がつかなくなって来ているように思えた。もう一息で追い払えるに違いない。


 2つ目のボタンを今度は壁に向かって投げた。


 暗闇の中でこつんという音が壁から聞こえると隊員たちは恐怖に支配されて壁際を大慌てで離れた。


 あやうくタンチョウにぶつかりそうになったがすんでの所で回避していた。


 それでも隊員たちは部室棟を去ろうとしない。


「みんなで行かない?」


「ダメよ、行くなら半分に別れましょう」


 どうやら別れる事に話が落ち着いた。


 タンチョウは惜しい気持ちになったが手にはまだ3つ目のボタンを握っている。



「何だったんだろう?」


「たぶん張り紙が落ちたんだよ、きっとね」



 身を寄せ合っている隊員たちから離れようとする1組があった。



「じゃあ、行ってくるよ」



 離れていく前にタンチョウは3つ目のボタンを隊員の1人の頭上に投げた。


 まるで真上から落ちてきたように頭頂部に当たったボタンに隊員は悲鳴を上げた。


 すると悲鳴が伝播して他の隊員に広まると蜘蛛の子を散らすように部室棟を走り去って行った。



「上手く行った」



 タンチョウは誰も居なくなった部室棟の廊下でひとり呟いた。


 ゲーム部室の場所は分かっている。3つ目の部屋がゲーム部室だった。


 ドアに鍵がかかっているのを確認するとピッキング道具を取り出した。


 かちゃりと鍵が開く音は廊下中に響いた。人がいる気配はない。


 鳥や虫の囁くような鳴き声が聞こえていた。


 部室内に入り込むと真ん中の机に布がかけられているロケットを見つけた。


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