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第三二羽 ペットボトルロケット編

 昼休みになった。散歩を装って校内を歩いた。彼の足が自然と向かったのは図書室だった。


 図書室に入ると受付にはアオゲラの友人である友紀がキーボードを打っているのが見える。


 タンチョウはぐるりと一周して本を手に取ると適当な場所に座った。

 本を開きはしたものの文字を追う気にもならず、頭の中はひっきりなしに潜入方法を探っていた。


 周りには読書に耽る者、自学に励む者がいる。その中で妙に浮足立っていて落ち着かない生徒がいるのだった。


 我慢できずに出て行こうと立ち上がるとタンチョウは自分だけそこで過ごすにそぐわない一種の疎外感を味わった。


 それがきっかけだったかもしれない。タンチョウは潜入する案をひとつ思いついていた。自然と歩みが速まって教室へと戻った。


 それで昼休みは終わってしまった。



≪案をひとつ思いついた。かなり厳しいがな≫


≪へー、どんな案なの?≫


≪親衛隊に紛れ込むしかない≫


≪今さら生徒会長を支持しているなんて公表できないな。お断りだね≫


≪準備は出来てるよ!≫


≪どういうこと?≫


≪午前中に話したでしょ。

 ひとつの案ってやつ。それが親衛隊の潜入案。友達が親衛隊に居てあたしたちも入れないかと話したら大歓迎だって言うからさ。

もうお願いしてきた。3人だけ入れるからね≫


≪3人か………≫


≪どうするの?≫


≪話の流れからカッコウは決まりだろう。ヤマセミは断っている≫


≪わたしも断るからねー。史上最高にめんどくさい≫


≪えー、キセキちゃんやろうよ!≫


≪イヤだ、そんな事に時間を使うくらいなら川に石でも投げ込んでた方が気持ちがいい≫


≪うわー、困ったちゃんだねえ。怒られないようにね≫


≪やらないよ? 例えだよ? ねえ、分かってるよね?≫


≪キセキレイならやりかねん。怒られるなよ≫


≪タンチョウ、便乗するな!≫


≪そうね、私が行こうかな≫


≪そうだな、一度入った事があるからな。オオルリ、行ってみるか?≫


≪なぜ?≫


≪いや、現場に出てみるのもいい経験になると思ったんだ≫


≪俺は、今、忙しい。迷ってる。はっきりとしていない。

 足がふらつくような気がする。もう俺はどうにかなってしまいそうなんだ≫


≪分かった。悩むのもほどほどにな≫


≪じゃあ、タンチョウが行くのね≫


≪そうなるな。またライチョウの特技を披露してもらおう≫


≪秘密って言ってるのに≫


≪そうだった、済まない≫


≪必要な物はあたしが用意しておくからね! 楽しみだー≫



 そして放課後になった。


 美化委員の見回りは授業が終わると同時に始まっていた。腕章をつけた生徒が廊下を歩いている。


 タンチョウはライチョウと合流した。



「行くぞ」


「ええ、準備は万端よ」



 ライチョウはにっこりと笑ってタンチョウを迎えた。


 タンチョウも準備は万端だった。


 2人は一緒になって歩き始めた。



「ご機嫌ね」


「俺か?」


「もちろん。なんだか鼻歌すら聞こえてきそうなほど表情が柔らかいわ」


「そうか」


「良い事でもあったの?」


「いや、これと言って無いんだがな。

 まあ、前回の依頼から疲労があった気がしたがいざ取り組み始めるとそれも消えてしまった。楽しいって感じてるんだ」


「そう、みんなでいるのは良い事だもの」


「ああ、オオルリが落ち込んでるのが笑える」


「ふふふ、そうね。ロマンチックを否定されてアイデンティティが揺らいでる。オオルリは誰か想い人に告白したいのね」


「そうみたいだ。見守るさ。カッコウは距離が近い。ずけずけとモノを言うからなあ」


「そうね」



 そしてカッコウが待つ教室の前に着いた。


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