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第二五羽 友人への手紙編

 タンチョウは手紙の確保に頷くと脱出するために動き始めた。



「あれ、どうして開いてるんだ?」



 大野が壁の通気窓が開いている事に気が付いて閉めるために立ち上がった。


 前を進んでいたタンチョウは歩いて来る大野と他の教員の目に映らない場所を判断してライチョウを押し込んだ。


 2人が潜んだのは机の下だった。2人で潜むには狭すぎる。頬が触れ合うほどに密着しているが2人は気にしていられなかった。


 通気窓は閉められてしまった。外に出るには扉を使うしかない。再び通気窓を開けるには危険が大きすぎる。



「どうするの?」


「そうだな、こうなったら扉から出るしかない」


「外部と連絡は取れるかしら?」


「取ってみよう」



 タンチョウはオオルリにメッセージを送ったが返事は無かった。



「返事は無い」



 2人がどうするか迷っている間に部活動の指導を終えた教員2人が職員室に入って来た。



「マズいな」


「だね。早く出よう」



 新しく入って来た教員たちは扉をしっかりと閉めている。そして流し台の方でコーヒーを用意しながら話し込んでいた。


 前後の扉から気付かれずに出るのは至難と言えた。


 タンチョウは他の方法を考えるしかなかった。


 そして目に付いたのは衝立の向こう側にある扉だった。あの扉は職員室の隣の別室へと続いている。


 そのアイデアをライチョウへ伝えると急いで衝立の方へと向かった。


 衝立の裏へ辿り着くとタンチョウはそのまま迷わず扉を開けようとした。


 扉は開かなかった。鍵がかかっている。



「くそ。鍵がかかってる」



 タンチョウはポケットからピッキングの道具を取り出すと鍵を開ける事に取り掛かり始めた。


 ライチョウは衝立の傍に身体を付けて職員室内の教員の様子を窺っている。



「あれ?」


「どうしたんですか?」


「今、第2会議室へ向かう人がいたような気がした」


「こんな時間にですか?」


「な、だからおかしいなって思って」


「見間違いじゃないですか?」


「まあ、確認してみよう」



 衝立に最も席が近かった大野が立ち上がった。


 ライチョウはタンチョウの肩を叩いた。声が耳に届いていたタンチョウも頷いている。


 鍵が開く手ごたえを感じて扉をゆっくりと押して僅かな隙間を作るとタンチョウとライチョウは音もなく会議室へ忍び込んだ。


 扉のすぐそばの壁につくと扉の取っ手に手をかけて傾ける音が壁を通して聞こえた。


 会議室内の机に隠れようと動くと光が差し込んできた。扉が開いたのだろう。



「誰かいるんですか?」



 タンチョウは返事をしなかった。するわけにもいかない。大野が会議室の明かりを点けようと壁にあるスイッチに手を伸ばそうとしていた。



「ああ、大野先生。悪いね、午前中にこの部屋を使った時に物を落としたみたいでね。回収しに来たんだよ」



「山下先生でしたか。明かりを点けた方が探しやすいと思いますよ」


「じゃあ、点けておいてくれ」



 明かりがパッと会議室内を照らした。


 タンチョウは驚きに目を見張ってライチョウを見た。山下教頭の声をほとんど完ぺきに真似ていた。


 ライチョウがタンチョウの手を取って手先だけを机の上に出した。


 大野はそれを見て出て行った。



「出ましょう」


「ああ」



 タンチョウが第2会議室から廊下へつながる扉の鍵を開けた。ライチョウは悠々と室内を歩いて職員室間の扉の鍵を閉めると明かりを消した。



 そして2人は第2会議室を出て行った。目的の手紙を持って。


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