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第二三羽 友人への手紙編

 職員室を出たオオルリは待ちきれないと言った様子でタンチョウの表情を窺っている。


 それを知った上でタンチョウは口を開かなかった。まだ職員室から十分に離れていないように感じていた。


 辺りに生徒や教員の姿はない。なのに2人は不自然なほど言葉を発しなかった。


 そんな気まずさと失敗を予感させるタンチョウの態度に焦ったオオルリは勢い込んで尋ねた。



「手紙はあったのか?」


「無かった」


「ない? ないって言ったのか?」


「そうだよ。無かった」


「ちゃんと探したのか?」


「探したよ!」



 2人は廊下を突き進んでいた。

 タンチョウはようやく速まる鼓動を押さえる必要もなくなったと言わんばかりに解き放っていて自然と足が速くなっている。


 オオルリはなんとかタンチョウの足並みに付いて行っていた。



「すまん、責めてるわけじゃないんだ」


「いや、俺の方こそすまん」



 廊下の角にもたれるとタンチョウは一息つく事が出来た。息を整えるのをオオルリが待っているとキセキレイもやって来た。


 彼女は息を荒らしているタンチョウを見たが何も言わなかった。



「吉岡の机にはなかった」



 そして4時限目が始まる鐘が学校中に響いた。



≪吉岡の机には手紙は無かった≫


≪そう、潜入お疲れさまね≫


≪じゃあ、どこにあるんだろう?≫


≪あと考えられるのは担任の机とか≫


≪担任の?≫


≪うん、没収物の所有権は生徒にある。

だから勝手に捨てるのは教師でもしない。吉岡先生はもしかしたら1年4組の担任の先生に渡してるのかもしれないよ≫


≪なるほどな。一理ある≫


≪それで、1年4組の担任は誰なんだ?≫


≪天野みたいだよ≫


≪天野か。窓際の席だな。どうする?≫


≪また忍び込むしかないな≫


≪今度は私も行くよ≫


≪ライチョウ、本気か?≫


≪もちろん、見てるだけなんてつまらない。心配しないで窮地に陥ったら何とかするから≫


≪まず窮地に陥るなよ。心配だ≫


≪ふふっ、安心して何とかなるわ≫


≪潜入するのなら昼休みは避けた方がいい。人が多くなるからね。放課後の方が無難だろう≫


≪ああ、放課後にしよう≫


≪どんな状況だったの?≫


≪オオルリが大野を引き寄せてくれていた。

助かったよ。天野と大沢が職員室内の自分の机で作業していた。教頭の声が会議室内から聞こえていたからそっちの方にも数人いたと思われる。

あと再度引き出しを調べようとしたら吉岡と他の教員が戻って来たから撤退に至った≫


≪ありがとう。助かったわ≫



 そして昼休みになった。


 タンチョウは一息ついて緊張の糸が切れた影響からかイスに座ったままで動こうとしなかった。


 仲のいい友人と輪になって弁当を食べると抜け殻のようになって呆けた表情を浮かべたまま外の景色を眺めていた。



 それでも次の事を考えなければならなかった。放課後にはまた職員室へ潜入するのだ。


 彼は行く先を足の向くままに任せると亡霊のような足取りで屋上へと上って行った。

 

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